敬愛するダライラマ１４世のお話を日本語で読む事ができ、嬉しく思います。ただ、もう少し踏み込んで頂きたかった。

　二回の異なる講演を一冊にまとめてありますが、別々の本にして、講演では語り尽くせなかった事に踏込み、追加して欲しかった。

　「思いやり」の章では、健全な姿の愛に包まれて育った人は、自然に思いやりの心が発達する事を分かりやすく語られています。

　これとは反対に、早くから冷たいくらいに厳しく躾ける育児が、世界中で常識になった時代がありました。私もその被害者かもしれません。

　そんな育ち方をした人には、目標とする本当の思いやりを垣間見る事はできても、どうしたら自分もそうなれるか、処方箋としては不十分です。

本書は、二つの講演を収録したもので、前半は一般の方向けに思いやりを持つことの意味をやさしく説いており、後半は仏教の基本的な事柄についてわかりやすく書かれています。
ダライラマや仏教について興味がある方には、導入本として最適です。

また写真も素晴らしく、特にダライラマの言葉と波の写真が、読むものの心の動きと見事に調和して、メッセージの美しさをありのまま心に届けてくれます。
私は心の静けさを取り戻したい時に、何度も読み返しています。

読むと、やさしいこころ、やさしい気持ちになれる。
そんな本だと思いました。
比較的易しい内容で、
それほど難しくなく、人を思いやる心、
人の気持ちを考えること、配慮すること、
そういったことを改めて感じさせてくれる
本です。

たまに挿入されている写真もとてもきれいで
心が洗われます。

こういう本が学校の道徳の時間に採用されたり、
政府で買い上げたり（無理か）
されればいいのに、と思います。

少しでも多くの方に読んでもらいたい
そんな素敵な本です。

ダライラマ１４世。言わずともある程度の識者でいらっしゃったら「偉大な人」、ぐらいには思って下さるだろうと思いますが。この人がノーベル平和賞受賞者であるにもかかわらず、今中国当局とチベット国内での間で非常に苦しんでいる、でもこの人の一言一語で「北京オリンピック」ですら開催不可能になるかもしれません。要はそれだけ重大な人物であることをご理解下さい。

現在ダライラマ１４世は７７歳になるのでしょうか。１３世の転生者（＝生まれ変わり）として５歳から即位されたお人であります。その間、チベットと中国共産党との間で凄まじい争いがあり、１９５９年にインドへ亡命せざるをえない状況に陥りました。今年が５０年目（４９周年）ということもあること、そしてダライラマ１４世が「北京オリンピックの健全な開催を祈った」事から今の「チベットでの僧侶の自殺・暴動、更には人民の暴動」が起こっています。

本著はダライラマ１４世の本としては比較的読みやすい本ですが、ダライラマが本著で伝えたい言葉は「人間が持っている知性と、他者へのやさしさと思いやりこそ、最も大切な人間の価値だと思っている」、この一言に尽きます。

これを実践することこそ、ダライラマ１４世も進めて考えている事柄でありますが、今現在のチベットや中国当局ではこの言葉通りに方向は向いていない、そういう事態に陥っています。

ダライラマが「北京オリンピック反対」と言わないこと、それが大事ですし、もしそういう方向へ進むと…モスクワオリンピックの前例もありますし、中国は相当な内部改革をしないと国際社会との協調が出来なくなる恐れも…ある、と思います。

ダライラマの本をお読みになった事のない方々がいらっしゃいましたら、是非本著をまずお読み下さい。

本書には、2005年にダライ・ラマが来日した際に行った２つの公演が収録してある。

ダライ・ラマは、1989年にノーベル平和賞を受賞してから、世界の注目と、そして尊敬を
あつめるようになった。近年は、この「利」を生かして世界中の宗教、政治、科学界のリー
ダー達と対談をして世界の未来を模索しているそうである。人格者としては言うに及ばず、
知性としても、現代の最先端をゆく一人の偉人であるのは間違いないだろう。そのダライ・
ラマが、人生と幸福について、そして彼のスペシャリティである密教について、日本人に
語りかける。

本書は、通常の本よりビジュアルを強調した作りになっている。短いメッセージが大きな字
で１ページまるまる使って書かれていたり、文章内の重要な単語がボールドでしめされたり
と、工夫が凝らされている。また、大きな美しいカラー写真が何枚か挿入されており、そこ
にダライ・ラマの言葉が重ねられ、メッセージの効果をあげている。全体として字数が少な
いので、あっという間に読める。文字をたくさん読みたい人には少々物足りないかもしれな
いぐらいだ。個人的には、最後についている日本人との実際の対話（Q&Aセッション）が面
白かった。「ああ、それはぜひ聞いてみたい」と思うような質問もあって、自分が対話をし
ているような気分になった。