子供時代にランチェスター戦略を学べば、人生が大変革されるはずだ。
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「ランチェスター戦略」を現代企業のリーダーに浸透させるべく、アメリカ陸軍の指揮官育成マニュアルを基盤とした
「意思決定の要点」を説くシリーズ第2弾。
現代社会はインターネット等の発達で、史上類を見ないほどに情報を入手しやすい時代となった。
だが、逆に「情報が洪水のように氾濫」し、どの情報が有益な情報であるのかを見極める目が必要とされる時代ともなった。
だからこそ、多くの方が情報の取捨選択には心を悩ませていると思われ、混乱をきたしていると考えられる。
まず意思決定は「間違って当たり前」だという前提で、早さを重視する。
早さ>正確さである。決断の早さと決断の正確さは本来比例関係ではないことを認識し、問題解決には早さを優先させる。
リスクのない商売など有り得ず、もし有るとするならそれはリスクに気が付いていないだけである。
リーダーは常に部下に自分で考えさせねばならない。そして「部下に何をするのかを決定する権限を与える」のだ。
これは「任務そのものを決定させる権限の委譲」ではなく、あくまで手段の委譲に過ぎない点に注意。
現場の折衝を担当している人間が一人しかいない企業は決定が早くスムーズだるのに対し、折衝に数名の人間がやってくるような企業は
いつまで経っても結論を出さずに時間ばかり空費させられることが多いという事例があるそうだ。
現場の人間に決定権が一任されれいる企業と、イチイチ上役の許可を何回も得なければならない企業とで早さに差が出るのは当然である。
リーダーは部下を管理しつつも、可能な限り干渉を避け、部下に失敗を多く経験させる。
目先の知識などよりも経験こそが最も重要な成長への糧となることを説く。
「成功経験よりも失敗経験から人は多くの事を学んでいく」のである。
読んで思う。
日本の学校教育は「知識は教えても、リーダーとなるべき人間を育成することに主眼は置かれてはいないのだ」ということ。
誰もリーダーとなるべき教育を受けていないから、それを後進に教え伝えることも出来ない悪循環。それを断ち切るシステム自体の不確立。
だからこそ大人よりもむしろ子供にこそ教えるべきランチェスター戦略であり、思考だと感じている。
リーダーとなるべく教育を受けて社会の荒波の中に舟を漕ぎ出していくのと、荒波に揉まれながらリーダーになる方法を探すのでは土台が違う。
我々人類は、既に幼少時代から個々人が社会の荒波を乗り越えていく「戦略」が必要とされていることを意識するべきであろう。
軍事戦略から経営を学ぶ好著
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リーマンショック後の日本経済、特に地域経済の低迷は深刻である。帰省の道すがら長野県の松本から安房峠を通って飛騨高山まで抜けたが、長野県側の乗鞍高原やその周りのペンション群は特に疲弊していた。
ペンション経営者にとって、少子高齢化でブームも去った宿泊需要を獲得して生き残るのは並大抵ではない。敵地深く進入した小規模部隊が撤退戦を戦うような厳しさがある。
こんなときに、手にしたランチェスター思考Uは、軍事戦略、戦術の経営への適用を様々な具体例も用いながら論じており、他の経営書にない新鮮さを持っていた。乗鞍のペンションオーナーに参考にしてもらいたい話もいくつもあった。
さて、地銀の経営について、著者にアドバイスをしてもらいたいことがある。貸出先が構造不況業種のペンション群であったら、どのような不良債権対策を採るのがベストであろうか?自前で貸付先の経営改善に向けて真摯な努力をして地域経済を支えながら収益改善を図る茨の道を進むべきか?きめ細かな貸付先指導など諦めて、不良債権は一気にライトオフして必要なら公的資金の注入を求めるか?先行きは見えなくても個人保証、連帯保証を頼りに債務者責任を追及ながら双方の消耗戦を続けていくか?
私は、銀行の体力が許すのであれば、モラルハザードを防止しつつ、個別の債権カットにも応じて、債務者とともに地域経済の改善に努力する地銀がもっと現れて欲しいと願うものであるが。
論理的
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前著、ランチェスター思考Tが、ランチェスターの法則を基にわが国で開発された、ランチェスター戦略(セールス・マーケティング戦略)の入門・解説書であったのに対し、本編はアメリカ陸軍の指揮官マニュアル(FM-6.0 )をベースにした、経営戦略・戦術の教導書である。おそらくわが国では初の試みであろう。筆者が軍事(自衛隊)に深い関心を持ち、しばしばその教育に招かれるほどであることと無縁ではない。
わが国の意思決定は政治であれ、軍事であれ、経営であれ、果敢な決断よりは合意形成に力点を置く傾向が強い。最近のように経営環境がめまぐるしく変わる時代、これではタイムリーな手が打てない。また合意形成は必ずしも論理的ではない。そこで喧伝されているのがロジカル・シンキングである。MBAはいわばそのホームグランドと言ってもいい。しかし、このロジカル・シンキングは実務推進に際して、“机上の空論”化しやすいところがある。
米陸軍の指揮官マニュアルを援用しながら、著者が訴えようとしていることは、過度なロジカル・シンキングをあらため、経験とそれによって培われる感性で、直感的・即応的な経営判断を行おう、と言うことである。
前作同様経営学泰斗の一言や、経営上の経験談(特に失敗談)、軍事作戦上の事例などを随所に挟み、飽きることなく最後まで読ませる。また、日ごろ忙しい経営者・管理者に読みやすい形式で記述されていることも、即戦的な経営指南書と言える。
米軍の意思決定法をビジネス向けに紹介
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米軍の指揮官マニュアルを中心に、
軍事的な意思決定方法をビジネスにどう生かすかについて
紹介していく内容。
「OODAループ意思決定論」など
ビジネスに活かす!最新・米軍式意思決定の技術と重なる部分も多いが、
著者がビジネスにより近い立場のためかこちらの方が
より実践的な印象を受ける。
特に軍隊組織との前提条件の違い(相手の物理的に破壊することは不可能なため、
奇襲後の反撃を受ける危険が高いことなど)について
きちんと注意がある点は、特に本書の価値なのではないか。
人類の最古の組織の一つであろう軍隊で
試行錯誤を繰り返して来たノウハウについて、
紹介したり応用を試みる書籍が不思議なほど少ない現状では
非常に参考になるオススメ一冊である。
ただ、著者もあとがきで述べているが
前提条件が異なる軍隊でのノウハウをそのまま企業に
当てはめるのは困難が生ずるため、
誤用を防ぐために違いを整理する章を設けても良かったのでは
と個人的には思った。
完璧はありえない。だからこそスピード大事にしえ行動せよ
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一言:仕事は戦争だ!
*********【ビジネス本コンシェルジュ・石川の視点】***********
ランチェスター思考1とは内容はまったく異なります。
前回はランチェスター思考そのものの紹介でしたが、
今回はアメリカ陸軍の考え方をどうビジネスに活かすか
に重点が置かれていました。
サバイバル全書にも同じようなことが書かれていますが、
仕事に置き換えがスムーズで、とても役立ちます。
戦争はそれだけ緊迫している、かつ勝つことが大前提だから
なのかもしれません。
その意味で、今回の本は現実にどう活かすかを
考え抜かれた、シンプルな内容です。
■完璧はありえない
数学の論理学でも同様のことが言えます。
ゲーデルの不完全性定理です。
論理的に完璧な世界が存在する仮定すると、
論理的に完璧ではない世界が存在する。
完璧ではないかこの世界での面白さがわかるのです。
数学が論理的に完璧で出来上がった世界なら、
未解決問題は生じ得ないし、
数学家の楽しみがなくなります。
だからこそ、仕事も同じで、完璧を求めず
6割ぐらい見てよさそうならスピード感をもって
進んでいくのがよいのでしょう。
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ここでは書ききれないくらい、濃厚な
仕事の考え、考えないといけない点が
たくさんありました。
失敗したほうがいいものができますが、
大きなリスクを犯しすぎると
いくら失敗が良くても身をほろぼします。
数学では二項排反が双方なりたちませんが、
現実では成り立ち、バランスよくが求められます。
うまく立ち振る舞えるよう、今日もがんばります。