秀逸なのは主人公演じるショーン・ペン。どうしようもない自堕落な男が、憎みきれないろくでなしというチャーミングなキャラになったのは、ペンの演技あってこそ。そんなダメ男に献身的につくす、口の不自由なハッティ演じるサマンサ・モートンもかわいい。言葉はなくても愛情たっぷりという、その表情の豊かさには驚くばかりだ。都会のシニカルなコメディが多いウディ・アレン監督が放ったラブストーリーは、ジャズの調べも心地よい、心にじんわり染みわたる傑作。(斎藤 香)