今、世の中は荒んでいます。世が荒むように漫画も荒んでいるような気がします。しかし、そんな中でも「三丁目の夕日」は実にホノボノとした一冊です。
今の漫画に対し嫌気をさしかけている人は「三丁目の夕日」を読んでみてはどうでしょうか?

「兄ちゃん、お姉ちゃん」がテーマの今巻には「また一緒に遊ぼうよ。」といった牧歌的な作品だけではなく、兄へのネガティブな感情に悩まされている高校生の妹を描いた「鬼さんこちら」という作品も収録されています。

「兄貴なんか大きらい！」「あんな兄貴いなけりゃいいのに！」「兄貴なんか死んじゃえばいいのに！」という想いを抱く妹の姿は妹自身が感じたように「鬼」そのものです。
しかしその「鬼」を追い払うためにとった妹の行動は女子高生ならではの突拍子もなさに溢れた感動的なものです。

「兄ちゃん、お姉ちゃん」との関係は、他者との人間関係の第一歩とも言えます。
その他者との人間関係に悩む我々に必要なものは「鬼さんこちら」で妹がおこずかいでどっさり買った（バケツ２杯分！）節分の豆ではないでしょうか。