インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

「芸術力」の磨きかた

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: PHP研究所
Amazon.co.jpで確認
「志」と「努力」が必要 ★★★☆☆
日本人の多くが「別世界」のものと感じている芸術。しかし、本来は万人が楽しめる遊びである。いかに芸術を楽しむべきか、を論じる。

芸術における「感性」の胡散臭さを喝破し、しっかりした観察を行うことや考え抜くことの重要性を説いている点は、非常に納得できます。「芸術art」の「技術art」としての側面を、私たちはともすると忘れがちですが、しっかりとした基礎練習や上級者の徹底した模倣をベースに、表面的な現象だけでなく、その奥にある技巧や工夫を感じ取ることこそ芸術鑑賞や表現の本当の楽しみなのでしょう。

その意味でも、「自らも表現者になろう」という提言は有用です。自ら体験し、悩み苦しんでいる部分だからこそ、素晴らしい技術や表現に出会ったときの感動は大きいはずです。この点は非常に納得できました。

ただ、一方で、「ちょっと芸術的なものでもかじってみたいな」と思っている私を含めた大半の読者にとっては、著者の主張するような「芸術を人生の中心に据える」ことはとてつもなくハードルが高い気がします。
そこまでできる人は非常に限られている訳で「やっぱり芸術は敷居が高い」と思ってしまいます。その点、本書のねらいがよく分かりません。「生半可にやるな、覚悟してから来い」というのが本書がいいたいことなのでしょうか?芸術に対して読者をさらに後込みさせる結果にならなければよいですが。

全体として、芸術の見方について刺激を与えてくれる本ではあります。
ただ、具体的な上達の指針としては、同じPHP新書の『上達の法則』の方が役立つと思います。
読者と共に考えたかったのか、読者へレクチャーしたかったのか? ★★★☆☆
某メディアのレビューで目にして、通読させていただきました。

普段、生活の中で「芸術」とのかかわりを深く考察しない身にとっては、それを考えさせるキッカケとなる一冊だったように感じるのですが、

それは必ずしも「『芸術力』の磨き方」を”教えていただいた”という感覚ではなく、むしろ、
「林望さんってこうやってきたり、こう考えてきたのね・・・(という人となりの発見)。それでは、自分はどうしようか?」
という、”触媒”的な感覚だったように思います。

もし、著者が当初からこれを狙っていたのであれば(そのために、あえてご自身のエピソード等を前面に押し出されているのであれば)、
・「芸術力」の磨き方
という、ハウトゥーを想定させるタイトルではなく、
・「芸術力」を考える
といったように、読者にも共に考えてもらいたい、という意図をこめたタイトルのほうが良かったように思います。
(各章の見出しについても、ハウトゥーを感じさせるものではなく、もう少し「共に考えよう」というタイトルのほうが良かったのではないかと・・・)


しかしながら、「もしこういったことまで考えられながら、あえてハウトゥーっぽいタイトルをつけたとすれば、それはなぜなのだろうか・・・?」
ということまで考えると、もしかすると(あくまでも想定ですが)、
・読者よりも目線の高いところにいらっしゃるご自身を意識されている(もしくは無意識のうちにそういう位置に自身を置かれている)
ことの表れなのかもしれません。。。
とすれば、
芸術の敷居を低くしようという4・5章での試み(=1章での宣言)とは裏腹に、やはり(筆者の意識/無意識かかわらず)芸術の敷居の高さを維持する方向での本書に留まってしまっているのかもしれませんね。。。


いずれにしろ、「”芸術力”とは何ぞや?」ということを考えさせるキッカケになった一冊と感じました。。。
流されるか反抗するか ★★☆☆☆
「芸術を理解するためには、実際にやってみないと分からない」

まぁ、たしかにそうなんですけど、だったら、
「この絵は綺麗だなぁ」「誰が書いたんだろう」「あぁこんな人なんだ」
「その人はどんな人生を歩んだのだろう」
と興味を持っても、実際自分も絵を書かないと全くのムダであると
おっしゃっているんでしょうか。

有名な絵画や演奏家にしか興味を持たず、ものの価値を分かっていない
(であろう)大衆はたしかに愚かしいかもしれません。しかし、芸術に
興味を持つきっかけにはなりうるであろうし、「有名なもの」の役割は
門戸を開くためにあるような気もするので、一概に批判するのもどうかと。

こんな考え方もあるのだと、視野が広がったことも事実ですが、一番納得が
いかなかったのは、日々の仕事よりも芸術活動を優先すべきという意見。
おいおい・・・一般人は、労働して日々生きていくのに精一杯。それなのに
対価を得られない事に、そこまで命をかけてできないのが現実なのでは。
著者のおっしゃることを100%実行できる人間がはたしてどれくらいいるんでしょうか。

あまりに本末転倒な意見に、読み終わった後は
著者の言いなりになるものかと、「自分なりの芸術を楽しむ方法」を、
知らず知らずのうちに模索する事と思います。
そういった意味では己を知るきっかけになる本だと思います。

芸術を芸術たらしめたいのか何なのか ★★☆☆☆
タイトルと目次を見た限りでは、素人向けに親しみやすく芸術を身近なものにするための本だと思ったのですが、結局は著者の趣味や生きがいについての内容の偏りが見られ、中盤から書誌学者でもある著者の口語体は崩れ、「〜であってね」「だからね」「〜でウンザリしますよ」と説教じみた書き口調にウンザリしてしまいました。

納得できる部分も少ないわけではないですが、何より明らかに偏見であることを素人に断定的に豪語するのは許しがたい。
「生きた芸術を味わおうと思ったら、美術館に行ってもダメだ」
「美術館に収集された作品なんていうのは、それこそ図録で見れば十分だ」
などという記述は、著者の口調を借りれば、これは、いかに芸術を理解する眼を持ち合わせていないかということの証左というしかありません。

他にも、日本のお受験やスカラ座のブーイングなど、取り上げるエピソードがいやに極端な例なのも気になります。そして「より深く理解するには実際にやってみること」「その辺の書道教室に行くより書家の先生に付け」と、芸術に親しむどころか至極困難なことを提案しています。そういう面倒なことがイヤでも、芸術の楽しみ方は開かれている筈であると、私は思います。そして、そういう「面倒なことはすっ飛ばしてゲージュツしてみたいなぁ」という人々に間違った影響を与えているかと思うと、不愉快でなりません。

やってみた方が理解できる、といって絵画、音楽、声楽、能楽、書に写真、と何でも取り組まれている著者のようですが、逆にちょっとかじった位でとても解った風な口をきかれるくらいなら、指をくわえて憧れ眺めている方がよっぽど性質が良いし、自分の知らない世界のことを考えるのはとっても好奇心と探究心と想像力と敬意がはたらいて良い事だと思います。

ちなみに著者は「手引書は読み方次第で毒にも薬にもなる」とも書いておられました。
常々思っていたことを少々 ★★★★★
日本人は(西洋の)芸術に非常に興味を持っているが、鑑賞能力が低い人が多いのではないかと思っていた。メディアのお蔭で人が集まるようでは鑑賞とは程遠い。結局のところ(ブランド品を買いあさる女性の)ブランド志向と同じである。教育のせい。それも一理あると思うが、生活をしていくことを考えると芸術に力を入れた教育を薦める理由を探すのが大変。また国民の大多数が芸術家として収入を得ていかなくてはならないのかという疑問も残る。義務教育なり、高等教育で習わなければ芸術鑑賞能力がつかないというものおかしな話。自分の芸術の才で生活費を稼ごうと思わなければ、芸術家まがいにもなれるし、自分の芸術鑑賞能力を高めるチャンスはいくらでもある。一般の人に教えるプロもたくさんいるはずなので、都心にいる人にはチャンスがないはずはない。要は磨き方がわからないだけ、もしくは(西洋の)芸術を鑑賞している(ハイブロウなものがわかるというステータスを示せる)自分が好きな人がいるだけなのではないかと思うこの頃。本当に芸術に興味がある人だったら、著者のように何かをしているはずなのである。ただし著者のように訓練されていないからマスターするのに時間がかかるだけ。「待ってました!」というお題の本だと思いました。