英語学習というと英会話から始める人が多いが、本書の著者によると、英語は聞き取れなければ話せるようにはならないという。赤ん坊が母親の話を耳から聞いて言葉を覚えていくように、英語を学ぶときもまずリスニング力をつけることが大切なのだ。

   本書はリスニング力をつけることで会話力も併せて身につけようというコンセプトで作られた教材シリーズの入門用である。あいさつ、紹介、依頼など実際のコミュニケーションのシーンをテーマにした各章は、リスニングとスピーキングのパートに分かれている。まずはCDで短い会話を聞く。隣り合う音が1つになるケースなど、各章で示される聞き取りのコツは大いに参考になる。スピーキングのパートでは会話文を読み、音声を聞きながら繰り返し音読の練習をしたり、言い換え表現の練習をしたりする。何度も英語を聞き、口に出すというシンプルだが正攻法の勉強法によって、着実に英語力を身につけられる教材だ。（原 智子）