最近、幼少時からの英語教育、それもリスニング力の養成が重要だとの議論が盛んだ。実際に、日本語もおぼつかない幼児が英語環境に置かれると、成長してある日、爆発的に英語で自己表現することがある、という実例があるそうだ。これは、リスニングによって相手の言ったことを頭にインプットし、のちにそれを自分の言葉としてアウトプットする、という言語の習得の大原則に忠実だからという。
「週末の過ごし方」から「売上報告」まで、トピックで全15章に分かれている。各章のはじめに導入されている短いコマーシャルメッセージをもとに、会話を聞き取り、内容の理解を深めていくリスニング・パート。スピーキング・パートは、言い換え反復、役割練習、重要表現反復など5つのセクションがあるが、各章「がっかりしたと言う」「励ます」などのファンクションテーマがあり、ページを追って見る限り、「新メソッド」とは言いながら、オーソドックスな信頼性にたる教本である。けっきょく、リスニングとは自然な英語に限りなく多く触れ、聞き上手な「英語耳」を作ることではないか。その点、白野、Stefani共著の豊富で適切な例文は定評がある。(祐 静子)