本書では、黒田師範の居合術とはどのような物であるか、という事を
ご自身が、丁寧かつ直截に述べておられると思いますが、
誤読誤解もやむなしという師範の諦念のような物も同時に感じられるように思います。
しかしながら黒田師範の表現は明確であります。
例えば浮身という事に関して、明確に「腰は上げない」「体ごと腰が前に変化する」と表現しておられます。
このごく短い言葉の中に、途方もない物を感じずにはいられません。

この本の評価など誰がして良いものかと思うのですが、
そのぐらい最大の敬意をもって読むべき本だと思います。
内容は民弥流居合術、椿木小天狗流棒術について書かれています。
黒田鉄山氏の凄さは知っている者なら分かると思うのですが、
民弥流居合術、椿木小天狗流棒術を確立した先人は
もっと凄い人と思うと計り知れないものがあります。