長い間、一番の本でした。
★★★★★
この本は長い間、一番好きな本でした。
1話1話は短編で出来ているのですが、全編に共通するブラックな感じ。
タイトルのブラックティーはそのブラックという意味ではなく、ブラックのお茶でもなく、ばらの種類なのだそうです。
”魔が差す”という言葉がありますが、この本のテーマがその”魔が差す”ではないかな?と思います。
人間のシュールな部分。
特に、「夏風邪」というお話は本当すごい「人間の毒」が描かれているなぁと思います。
うーむむむと考えさせられる本です。
可も無く不可も無く
★★★☆☆
山本文緒さんは結構好きな作家さんなのですがこの作品よりもみんないってしまうのほうが正直好きです。
パイナップルの彼方へもですが、妙にあとがきに共感してしまいます。
どこか、世間からはみ出してしまいそうな恐怖を抱えているような世間に上手に馴染みきれていないような。
誰にでもある後ろめたい過去。
★★★★☆
軽犯罪をテーマとした10篇の物語。笑って読めるものからずしんと心に響くものまで。「シュガーレスラブ」といい、本書といい、山本文緒のテーマのとらえ方は本当に面白いと思う。
主人公も子供あり、若い女性あり、母ありで飽きずに楽しめる。
自分の心の中にある、ちょっと「悪い」自分に気づかされてはっとする書でもある。
現実のなかのかすかな希望
★★★★★
短編集です。とても、リアルな描写にすこし暗くなります。心理的に。しかし、なぜかラストで筆者が導くプロセスそのものに本物の希望って派手でも、立派でもなく少しずつ噛み締める味わいのあるものなんだと思える。たまに、読み返したくなる本です。
流されゆく刹那
★★★★☆
何とか学校を卒業して、どうにか社会に出て、社会人として
歩き出した時、その日常生活の煩雑さに途方に暮れた。
毎日口に入れるもののこしらえ、知らぬ間に降り積もるテーブルの埃、
気まぐれな天気と溜まる洗濯物。目に入る情報の取捨選択をしている
うち、自分の意思がどこにあるかも見失いかける。
人が一人生きるということは、これほどまでに雑務だらけなのかと唖然。
そして、そうしたことを楽しんでしまう腕力の持ち主と、またその逆に
感受性不全のために全く意に介さない人間の種類がいるということにも呆然。
さらに、職場や家族や恋人と呼ばれる存在たちと、ほどほどに
保ってきた関係が重圧になったりする瞬間。
そうやって人は、いつしか流されていく。
そうしたいくつかの刹那を切り取った短編集。
でも、少し元気出ますよ。
自分だけじゃ、ないんだって。