是非読んで!
★★★★★
冒頭、太兵衛と猪之吉の出会いが印象的です。
そして2人は毎月会う約束をし、7ヶ月後太兵衛は亡くなります。
太兵衛は桔梗屋という履物の大店の主人でした。自分の死後、店の行く末を太兵衛は猪之吉に託します。
命に代えて・・・と猪之吉は答えます。
太兵衛の内儀しずも亡き夫の志を受け、葬儀一切を猪之吉に任せます。
太兵衛の人柄はあまり出ませんが、この葬儀で太兵衛に対する猪之吉の思いがはっきり出ます。
そしてこの葬儀がこの物語の重要な場面であり、この先に始まる戦いのプロローグになります。
猪之吉としず、頭取番頭の3人がいかな思いで桔梗屋の危機と戦うのか。
息つく暇も無いくらいに面白いです。是非この本を読んで山本氏の世界を堪能してください。
山本氏には短編もありますが、物足らなく感じます。
それほど 長編なのに長さを感じさせない一冊です。
もちろん、おもしろいですけどね
★★★★☆
あいかわらずの山本一力節です。
大店の主・太兵衛と賭場の貸元・霊巌寺の猪之吉の友情の物語。
桔梗屋が騙りにあったとき、後見人を任された猪之吉が桔梗屋の為に立ち上がる。
話の大筋はいいんですが、細かい筋で気になるところいくつか。
騙りで作らせた2000足が香典返しとなるくだりは読んでてとてもおもしろかったんですが、ちょっと騙りの仕組みと、その結末のつけ方は、複雑で分かりにくかった。
話をすっきりするために、贋金の話か、太兵衛の親族の話は省いても良かったんじゃないかなぁ。
最後に先細りな語り口
★★★★☆
ひょんな事から、老舗大店の後見人になる渡世人と、その老舗大店を乗っ取る為に、騙りを仕掛けてくる乗っ取り屋の攻防が魅力的な作品である。社会の埒外に住む二人が、それぞれに力強く生き生きと魅力的にかかれ、その緻密なまでのやりとりはついつい引き込まれる。
が、最後に至って結末が物足りなさ過ぎる感は否めない。余りにも結末の枚数が少ないので、途中の膨大な盛り上がり部分からけ落とされる気がした。2000足の雪駄は、どのように騙りに使われるはずであったのか?乗っ取りの手伝いをさせられる嫌な親戚の親父はどうなったのか?勧善懲悪で、思いっきりの反撃を期待したが、サッパリしすぎているし、肝心の乗っ取りの黒幕であった油問屋には、どのような仕置きがされたのか?
かなり無理な話の展開
★★★☆☆
侍は一人も登場しないが面白く読める時代小説だ。ただ話にはかなり無理がある。「あの店がほしい」という豪商の欲から話が始まるが、子供じみた欲望で首をかしげる。騙りにあう番頭・手代もいやになるほど抜けている。一番の不思議は公儀同心の手先、目明かしとその使い走りが殺されて姿を消すのだが、同心が動いた形跡が全く描かれない。なお、物語は半ばと言うところ。続編が必ずあるはずだ。