最晩年も「粋」に
★★★★☆
週刊新潮の名物コラムであった「男性自身」
その1980年から1986年までの掲載分から
選りすぐりをまとめたものである
著者である作家、山口瞳の最晩年の筆は
長年親しんだ身の回りのことを、静かに捉えていく
野球、競馬、将棋、旅、酒..
そして文章を書くということ、自分という存在そのものに対して
まっすぐ、まっすぐ向き合っていく..
・・・・・・・・・・・・・・・・・
私に酒の飲み方を教えてくれたのは、自分の父と、この山口瞳だ
要は「粋に飲む」ということである
晩年の著者は、医者から止められてしまったため、あまり酒を飲まない
そのため、本書でも、酒の話題も少なくなっており、
長年のファンである私としては寂しさを感じてしまう..
ただ、唯一の救いは、
その「文章の粋」の部分だけは、
最後まで枯れることはなかったということだ