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「死の医学」への日記 (新潮文庫)

価格: ¥660
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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 「死の医学」という言葉は、医学用語ではないのだそうだ。それは、自らもがんに倒れた精神科医、西川喜作氏と著者との交流の中から生まれてきた言葉であるという。

   欧米に見られる「死学(サナトロジー)」に興味を抱いた西川医師は、それを参考に、より身近で実践的な臨床医学を構築したいと考えた。それが「患者が精神生活において最後まで生を全うできるように支援する」ための臨床医学、「死の医学」である。本書は、そうした西川医師の志しを受け継いだ著者が、末期がん患者への医療のあり方とその実際を、現場の医師や患者への取材を通じてまとめあげたものである。

   とくに、がんと対峙しながらも前向きに人生を生ききった人々の姿は大きく胸を打つ。最後の写真集を完成させるために、治療の中断を選択した写真家。在宅ケアを選ぶことで、最後まで「主婦」の仕事を全うして逝った女性。本書に登場する彼らを通じて見えてくるものは、日本の現状は、著者の言うように「自分の死を創る時代」であるということだ。

   なお、がん治療の現場への取材は、1970年代に発表された『ガン回廊の朝(あした)』以来の著者のライフワークでもある。西川医師との交流と、その闘病の記録は、本書の前編ともいえる『「死の医学」への序章』に詳しい。あわせて読まれるとよい。(中島正敏)

サナトロジーの入り口 ★★★★★
サナトロジー(死学)の入門編として、実際の臨床を交えたノンフィクション作品がこれだ。柳田氏の、淡々としていながら核心をつく判り易い文体も大きな魅力のひとつだが、本質は昨今の医療界で患者の生活の質をあらわす「クオリティ・オブ・ライフ(QOL)」という言葉が、本来は患者の立場で論ずべきである事を再認識させられる点にある。現在でも、医者の立場からみた患者のQOLが語られるのが常であるが、医療従事者には早くこの間違いに気付いて欲しいと願う。海外の書ではこの分野のパイオニアであるエリザベス・キューブラー・ロス博士が有名であるが、日本における臨床的なサナトロジーの考察では柳田氏の書物が群を抜いている。本書の初版は古いが、現代に置き換えても全く違和感を感じないのは医療の質の変革がないためだとしたら、あまりにも悲しい。
死の医学の実践記録 ★★★★★
 これは私がレビューを書いた「死の医学への序章」と同じく、死の医学の必要性を説いている。この本の場合は自らの体験も含めた実践例を挙げて論述しているものだが、実践例を交えているので、より説得力がある。

 この本を読んでいると、上手い死の方法とその医療の意味の答えが見つかると思う。是非とも、「死の医学への序章」と併せて死の医学の必要性を考えてもらいたいと思う。

雑駁な印象。体系的取材ではない。 ★☆☆☆☆
著者が偶然出会った末期がん患者のケーススタディがいくつか取材されているというだけの本。末期がんの患者に最後の数ヶ月の生をどうすごさせるかことに関して、体系的な研究がされているわけでもないし、これといった新知識が書いてあるわけでもない。麻薬による疼痛コントロールも必要だし、本人が人生の最後に仕事をまとめたいというのならば、治療の一時ストップも有用だと思う。しかし、それらはケースバイケースなのである。★また、いまどき「がんを告知するかどうか」で周囲が悩んでいるというのがおかしかった。痴呆老人ならともかく、頭のはっきりした患者なら、薬から判断して自分の病気ぐらいはすぐにわかる。問題は病状を説明する医師のコミュニケーション能力なのである。★在宅ケアが可能となるための往診体制の現状、ホスピスの様子、医師教育の中でのターミナルケアといった話を期待していた私には期待はずれの内容だった。