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白光 (光文社文庫)

価格: ¥600
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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誰もが罪を背負って生きている ★★★★☆
とある家族に襲い掛かる運命とも言うべき悲劇を、
それぞれの独白という形で描いたミステリアスな物語。
最初の祖父のエピソードからすぐにその世界に引き込まれ、
その謎と秘密に迫るごとく最後まで一気に読んでしまった。

少女を殺した犯人は誰か?ラストまで引っ張られるが、
途中からそれを特定することに実は大きな意味はないことが分かる。
ネタバレになるのでこれ以上は書けないが、
家族一人一人が背負った罪がひとつの大きな渦になり、
この一家を覆い尽くしている様が目に浮かぶようだった。

嫉妬する者も我慢し続ける者もそれぞれどこか臆病で、
だけど少しづつ自己中心的で、
分かり合えずにすれ違ったまま悲劇の渦へと巻き込まれてゆく。
自分の忍耐の裏に自分よりもっと苦しんでいる人がいること、
誰もその時には気づかない。
自分が一番かわいそうで一番不幸だと思ってしまうのだ。
なんともやりきれない、悲しい話だ。
やはりこの作家さんはこれからも読み続けようと思う。
熱に浮かされているような・・・ ★★★☆☆
ある日、たった4歳の幼女が殺されて埋められる・・・果たして犯人は?その動機は?

登場人物のさまざまな思惑が絡まりあい縺れあい、最後の最後まで真相が分からず読者をどんどん引き込んでいきます。事件が実際に起こった時期の真夏の暑さと、登場人物の一人である痴呆老人の妄想内での熱帯の暑さが、入り乱れ絡まりあい息苦しいです。疑念や嫉妬や妄想・・・ドロドロねばねばしたものが混沌と渦巻いていて、ベットリと肌にまとわりついてくるような空気感です。

ミステリーとしてはうまいのでしょうが、どうにもこうにも登場人物たちの乱れた自己中心的な振る舞いや、人間の心の底にたまっている真っ黒な澱のようなものに対して、不快感を感じしまい読後感もあまりよく無かった、というのが正直なところ。
4歳で突然に生を奪われた幼女の死が無駄死にのように感じられ、いったい彼女の人生は何だったのか?と虚しくなりました。
あと、この作家さんは「フェロモン垂れ流しの魅惑的な肉体を武器にした悪女」というキャラがお好きなのでしょうか?他の作品にも似たような主要キャラが登場していたので、またか・・・と感じました。
引力のあるミステリー ★★★★☆
素晴らしい本というのは、なんとも形容しがたい引力を本全体
から発しているのかもしれない。この「白光」からも、そんな
引力を感じて思わず手にとってしまった。

ページを捲り、読み進めていくうちに、ますますその引力に
引きずり込まれていくのがわかった。

緻密に計算された、濃密な人間ドラマ。
「家族」という狭い世界の話でありながら、彼らひとりひとり
の心のうちに広がる世界は荒野のように果てしなく広ろがり、
読む者の心をかき乱す。

「トリック」ありきのミステリー・・・というよりも
「トリック」しかない昨今のミステリー小説に辟易していた
自分にとって、小説としての「白光」の密度の高さは新鮮で
あり、感動的だった。

連城三紀彦の小説が生み出す強い引力から、当分抜け出せないないかも。
本当の犯人は! ★★★★★
一人の幼い少女を殺した犯人は誰なのか!

最後まで読み進まないと分からない、ミステリー色の強い作品。
事件に関係する人物が、自分の心中を告白していく形式で物語が展開し、
ラストは、もの悲しい感覚が残る。

一人の少女を取り巻く、登場人物の複雑な胸中が交差し、
読み終わっても「本当の犯人は!」と考えてしまう。
読んでみるとその感覚が分かります。


普通の人間の心に潜む闇 ★★★★★
一見なんてことない家族間の複雑な人間関係をこれでもかという具合に執拗に描いた作品です。聡子という主婦が一応主人公ということになるのだと思いますが、彼女の夫・娘・舅・妹、妹の夫・娘・浮気相手といった人物達がほぼ均等の重みで描かれています。殆どの描写が独白という形式で描かれている為、他の人物が本音の部分で何を考えているのかはわからないというところがミソ。事件の謎というよりも、“他人の心”というものを謎として捉えているようです。

事件は妹の娘が殺害されるというものなのですが、この犯人が誰かを巡って登場人物たちが疑心暗鬼にかられた独白を続け、それによって読者から見ると事件の真相が次々に変転していきます。最後まで読むと心理的な目眩さえ感じるほどです。それにしても、人間の憎悪・嫉妬といった悪意はおそろしいものです。

誰もが罪を背負って生きている ★★★★☆
とある家族に襲い掛かる運命とも言うべき悲劇を、
それぞれの独白という形で描いたミステリアスな物語。
最初の祖父のエピソードからすぐにその世界に引き込まれ、
その謎と秘密に迫るごとく最後まで一気に読んでしまった。

少女を殺した犯人は誰か?ラストまで引っ張られるが、
途中からそれを特定することに実は大きな意味はないことが分かる。
ネタバレになるのでこれ以上は書けないが、
家族一人一人が背負った罪がひとつの大きな渦になり、
この一家を覆い尽くしている様が目に浮かぶようだった。

嫉妬する者も我慢し続ける者もそれぞれどこか臆病で、
だけど少しづつ自己中心的で、
分かり合えずにすれ違ったまま悲劇の渦へと巻き込まれてゆく。
自分の忍耐の裏に自分よりもっと苦しんでいる人がいること、
誰もその時には気づかない。
自分が一番かわいそうで一番不幸だと思ってしまうのだ。
なんともやりきれない、悲しい話だ。
やはりこの作家さんはこれからも読み続けようと思う。
熱に浮かされているような・・・ ★★★☆☆
ある日、たった4歳の幼女が殺されて埋められる・・・果たして犯人は?その動機は?

登場人物のさまざまな思惑が絡まりあい縺れあい、最後の最後まで真相が分からず読者をどんどん引き込んでいきます。事件が実際に起こった時期の真夏の暑さと、登場人物の一人である痴呆老人の妄想内での熱帯の暑さが、入り乱れ絡まりあい息苦しいです。疑念や嫉妬や妄想・・・ドロドロねばねばしたものが混沌と渦巻いていて、ベットリと肌にまとわりついてくるような空気感です。

ミステリーとしてはうまいのでしょうが、どうにもこうにも登場人物たちの乱れた自己中心的な振る舞いや、人間の心の底にたまっている真っ黒な澱のようなものに対して、不快感を感じしまい読後感もあまりよく無かった、というのが正直なところ。
4歳で突然に生を奪われた幼女の死が無駄死にのように感じられ、いったい彼女の人生は何だったのか?と虚しくなりました。
あと、この作家さんは「フェロモン垂れ流しの魅惑的な肉体を武器にした悪女」というキャラがお好きなのでしょうか?他の作品にも似たような主要キャラが登場していたので、またか・・・と感じました。
引力のあるミステリー ★★★★☆
素晴らしい本というのは、なんとも形容しがたい引力を本全体
から発しているのかもしれない。この「白光」からも、そんな
引力を感じて思わず手にとってしまった。

ページを捲り、読み進めていくうちに、ますますその引力に
引きずり込まれていくのがわかった。

緻密に計算された、濃密な人間ドラマ。
「家族」という狭い世界の話でありながら、彼らひとりひとり
の心のうちに広がる世界は荒野のように果てしなく広ろがり、
読む者の心をかき乱す。

「トリック」ありきのミステリー・・・というよりも
「トリック」しかない昨今のミステリー小説に辟易していた
自分にとって、小説としての「白光」の密度の高さは新鮮で
あり、感動的だった。

連城三紀彦の小説が生み出す強い引力から、当分抜け出せないないかも。
本当の犯人は! ★★★★★
一人の幼い少女を殺した犯人は誰なのか!

最後まで読み進まないと分からない、ミステリー色の強い作品。
事件に関係する人物が、自分の心中を告白していく形式で物語が展開し、
ラストは、もの悲しい感覚が残る。

一人の少女を取り巻く、登場人物の複雑な胸中が交差し、
読み終わっても「本当の犯人は!」と考えてしまう。
読んでみるとその感覚が分かります。


普通の人間の心に潜む闇 ★★★★★
一見なんてことない家族間の複雑な人間関係をこれでもかという具合に執拗に描いた作品です。聡子という主婦が一応主人公ということになるのだと思いますが、彼女の夫・娘・舅・妹、妹の夫・娘・浮気相手といった人物達がほぼ均等の重みで描かれています。殆どの描写が独白という形式で描かれている為、他の人物が本音の部分で何を考えているのかはわからないというところがミソ。事件の謎というよりも、“他人の心”というものを謎として捉えているようです。

事件は妹の娘が殺害されるというものなのですが、この犯人が誰かを巡って登場人物たちが疑心暗鬼にかられた独白を続け、それによって読者から見ると事件の真相が次々に変転していきます。最後まで読むと心理的な目眩さえ感じるほどです。それにしても、人間の憎悪・嫉妬といった悪意はおそろしいものです。