なかなか考えられた作品
★★★★☆
なかなかおもしろい構成の作品でした。短編集で社内報の中の小説という体裁で書かれているのですが、最後にただの短編集ではない、ひとつのつながりがあることがわかります。なかなか考えられた作品でした。
《日常の謎》と連作長篇という手法を融合させた記念碑的作品
★★★★★
建設会社の社内報に毎月一本ずつ、一人称で書かれ、実話
に基づいているという、匿名作家の短篇小説が掲載される。
四月から三月までを背景にした季節感溢れる全十二編の連載が終了した時、
編集長を務めていた若竹七海は、作者が小説に込めた驚くべき意図に気づく……。
それぞれが独立した短篇の外側に、プロローグとエピローグに相当する“額縁”
(書簡や編集後記)を付けることにより、長篇小説に仕立てるという手法が採ら
れた作品。
連載されたのが社内報という媒体だったこと、そして連載小説は実話
に基づいたものだったことなどが、本作全体を読み解くカギになります。
読み終えると、どうしても長篇としての大仕掛けにばかりに
目がいきがちですが、個々の短篇もそれぞれ違った味わい
があり、楽しめます。
特に、精緻なロジックが美しい「桜嫌い」、タイトルも技ありな暗号解読もの
「あっという間に」、そして叙述トリックが冴える「バレンタイン・バレンタイン」
などが印象的でした。
Gを感じたい!加速度オッケー!
★★★★★
推理小説じゃなくても、ステップアップパターンってのがあると思う。
同じような幅で事件が起こり、それを通じて主人公が経験値をあげる、別名ロープレパターンも多いよね。
これってランダムにいろいろな要素を盛りこめるから、広くあまねく対象を広げられるし、ベストセラーに多い気がしてる。
今で言うと、夢をかなえるゾウ、だっけ?
ここに時系列を加味すると成長譚のできあがり。
あえて時系列を狭めて事件をランダムに流して、実は、と、
パズルとして最後に一気に展開して見せる、
こちらは、敬意を込めて<若竹七海・僕のミステリな日常>パターンと名付けたいね。
これが短編?
★★★★★
短編ミステリーではいままでで、一番おもしろかったです。構成がおもしろくて最後までわかりませんよ。若竹さんの作品は全て読むことになるでしょう。
ラストの仕掛け
★★★☆☆
短編ひとつひとつも、鋭い描写で楽しめる。
それに、はじめはバラバラにみえた短編が
少しずつ繫がっていくのが面白い。
・・・と思っていたら、最後でやられました。
こういう仕掛けだったのか?!
反則技のようにも思えたけど
こんなミステリの形もいいな、と思いました。
デビュー作のせいか、文章が読みにくい箇所があるので
少し減点しました。