しかし、ご存知のとおり、生きていると
嫌なことにぶち当たる日もある。
「くそったれ!」と叫びたくなることもある。
そんな日に「性善説」を唱えるのは難しい。
そんなもん投げ出して
「人間なんてしょせん、こんなもんよね。」と
やさぐれたくなる。
そして、そんな気分にどっぷり浸りたいときに
本書ほどぴったり来るのが本書である。
できればしとしと小ぶりの雨が降っている昼下がり。
薄暗い部屋の中で苦いくらいのブラックコーヒーを用意して
この本を読んでほしい。
ひんやりとした悪意と冷めた感覚に
どっぷりと漬かってほしい。
しかし、その状態からきちんと抜け出して
本の世界から脱出してきてほしい。
なぜならこの本の主人公葉山晶は
どんなに底意地の悪い悪意と出会っても
どんなにさめた目で社会を見ている風を装っても
決して人間を見捨てないからだ。
決して人生を捨てないからだ。
泥だらけになりながら、必死で生きていく。
読み終わった後、そんな彼女の生き様に
私もがんばろうと素直に思えるはずだ。