連作短編なのかな?
★★★☆☆
女探偵葉村晶の二年ちょいを季節ごとに短編化して描いた連作短編集。
シニカルな視線の持ち主でどことなく淡白な性格だけど、それが女性となるとなんだかかっこいい。男だと、うわっかっこつけすぎ、ってなるとこなんだけど。
連作短編のわりに続き物な印象が薄いのは、短編ごとのつながりがないにひとしく、毎回登場するようなサブキャラクターがいないからかな。
最後で強引に連作らしくまとめてるけど、あれは興ざめでした。
最後を除けば個々の短編はおもしろいです。デイヴィッド・ハンドラーのホーギーシリーズを思わせるいやな登場人物と探偵の皮肉な視点のかみ合わせは、はまってたとおもいます。
事件の余韻をもたせた終わらせ方もよかった。「たぶん、熱かったから」の置き去り感は短編ならではでしょうね。「わたしの調査に手加減はない」はこの小説ならでは、という事件で後味の苦さと皮肉さが光ってました。
気分のよくないときにはおすすめしない本ですね。
鋭い感性と洞察力
★★★★★
主人公の葉村晶は物事を客観的に、かつ、冷めた目で見ている。
それは、彼女が長年、家族関係で苦労してきたことに由来する。
彼女にとって、探偵の仕事は“生活のため”というより“人生そのもの”だと思う。
誰に対しても公平に接する彼女の態度は一見、冷淡に感じる。
しかし、地位・名声がある人にも媚びることは決してない。
それに、家族に見捨てられた人を放っておけない優しさがある。
登場する事件は世の中の不条理を突いたものが多い。
その中、独り立ち向かう彼女の姿こそ、人としての真の美しさだと思う。
中途半端・・・
★★☆☆☆
主役の女探偵を含め、登場人物の誰にも感情移入できないまま、途中から読むのが辛くなりました。最終章に至っては、『何だ、こりゃ?』って感じです。トリックは面白いものもありますが、全体に中途半端な印象です。主人公の台詞も、ただただ嫌な感じがするだけ。私とは相性が悪いだけなのかもしれませんが。
最後に「あ・!」といえる短編集
★★★★★
この作家さんはちょっと前の女流作家の
アンソロジー的短編集に
大抵掲載されてる作家さんです。
その掲載されてる作品が面白いので
まとめて読んでみたくて買ってみました。
いずれの物語も最後に「あ・!」といえる
ラストです。
そして最後の「あ・」が驚きか哀しさか、それとも切なさか。
どうぞ読んで感じてみてください。
日常の悪意
★★★★★
恐らく、嫌いな人は嫌い、好きな人は大好きと意見のわかれる作家だと思うのですが、この若竹七海という人は日常の悪意を書かせたら絶品です。
思わず前のページをめくりなおしてしまう数々のオチは勿論、苦い悪意の中でひたすら進もうとする探偵・葉村晶、彼女がとてもかっこよくて、続編があるのが嬉しい。