中国戦線から終戦まで
★★★★☆
続編を先に買って読んでいたのですが、後で読んだこちらにも満足です。
戦車上での九死に一生の体験、陸攻による爆撃行、インド洋作戦と南太平洋海戦、そしてミズーリ艦上での降伏調印式等、現場に立ち会った作者にしか語りえない、しかも軍人ではなく報道の人間としての写実的な描写が心に残ります。
日本軍が機上から撮影したブレブレの真珠湾攻撃の映像が布留川大尉撮影であった事や、南太平洋海戦で爆撃された翔鶴の飛行甲板上にあって艦首方向に逃げたおかげで助かったエピソードなど、興味深い内容がたくさんありました。
写真はあまり多くありません。
ミッドウェー海戦についてだけ詳しく読みたい方は続編をお勧めしますが、こちらの本編だけでも悪くありません。
報道カメラマンが見た海戦
★★★★★
本書のタイトル「炎の海」はミットウェー海戦を指しているものと思う。
そこで、第7章の日米空母決戦に的を絞って概観してみたい。
この海戦についてはすでに様々検証されているが、本書は報道班員自身の見聞を赤裸々に綴っているので迫力がある。
赤城には源田航空参謀が居るはずだが何故か名前が出ないのが不審に思う。
当然のことではあるがやはり索敵に手抜かりがあったため、逆に敵の先制攻撃に遭い、かつ、折角の飛龍山口少将の
意見具申も無視するとう赤城側の対応が悔やまれる。
空母被弾時=艦内が大火炎につつまれ、将兵の悲惨な修羅場を克明に記録された貴重な海戦記で是非ご一読をすすめたい。
報道カメラマンの渾身の記録
★★★★☆
続編とまとめて買いました。
本書では、著者が体験した大陸での戦争から航空母艦「赤城」乗組み、ミッドウェー海戦を経て米戦艦ミズーリ艦上での降伏文書の調印式までが書かれています。
報道班員による手記を読むのは吉田一氏の『サムライ零戦記者』に続いて二冊目ですが、吉田氏のものは陸上基地航空隊のものだったので、空母乗組みの記者のものは本書がはじめてです。
本書を読んで驚いたのは、空母の中についての描写があったことです。いままでは写真などで外観や上空から見た空母は知っていましたが、中の様子は知りませんでした。
長期の作戦(航海)に耐えるためにはいろいろな設備が必要で、著者の「まるで一つの街みたい」(148ページより引用)だということを知りました。
もちろん海戦の描写もすばらしく、さすがにその場にいた人の記録だと感心しました(この点ではフィクションはかなわないですね)。
先に、私は続編とまとめて買ったと書きましたが、続編と本書はかなり内容がかぶっているので注意が必要だということを特記しておきます。