それでも百貨店は大変だ
★★★★☆
店舗設計は科学プラス感性、というのが著者の主張です。
ですが、ほとんどの店舗は感性ばかりに重点がおかれ、科学的なアプローチができていない、その一方でただ一人伊勢丹だけがそれをうまくやっているというわけです。
商売というのはしっかりと顧客や社会環境、店舗環境、地域環境を見つめて、考え抜いて、なおかつ機を見ることが大変に重要だということは鈴木敏文の本から学びました。(これを「科学」と呼ぶかどうかはわかりませんが)
やっぱり漠然とやっていては、何事もうまくいかないということですよね。ですが、本書で挙げられている事例は聞けばどれも「こんなの当然なのでは」と思ったりします。でもあまりしっかりと考えていないんですよね。「プランなしでスタートし、データも無く終わる」なんて聞くと「そんなバカな」と思います。ですが、実は私も以前仕事でこういった業界とお付き合いしたことがあるのですが、そこもMDとかが機能していなかったですね。「この服のどこにフリルをつけるか」なんていうのがMDの仕事という状態でした。それでも業界最王手の一角の企業でしたからね。だとするとどこもこんなものなのかと。
あるいはみんなが「これじゃ駄目だ」と思っていてもどこも仕入れ先、取引先などとのしがらみでうまくいかないようですね。(仕入先に売り場を任せてしまった「そごう」が破綻したのもむべなるかな)
とはいえ、百貨店て大変ですよね。だって、勝ち組伊勢丹でさえ営業利益率は4%とかですからね。SPAのユニクロが20%なんていうのを見ると、その違いは明らか。「百貨」を取り揃えることがいかに非効率かということです。だからこそいかに効率的に売り場を作るかですよね。そうすれば仕入れもおのずと見えてくるわけで。 だからこそ、あまりに当たり前のことができている伊勢丹はすごいのだろうと思います
星2つ
★★☆☆☆
著者は百貨店などの店舗運営のコンサルタントなどをされているようですが、本書の内容と構成はその肩書きに見劣りします。
たとえば本書の36ページにある「販売員一人ひとりのレベルが高い」というタイトルの見出しの中身ですが、
「(販売員のレベルを)ココまでのレベルにまで上げてきた功労者はたくさんいらっしゃるはずですが、最大の功労者はどなたなのでしょう。」
とあり、その答えを期待して読んでいたところ
「販売サービスのレベルアップは一朝一夕には無理です。毎日地道に根気よくやるしかありません」
???
このような答えで読者は満足できると思っているのでしょうか。
もう少し踏み込んだ分析を期待するのは著者には求めすぎでしょうか。
大抵がこんな調子で、最後まで読むのはあきらめました。
まだ色々あるのですがもう一つ細かいことを言わせてもらうと、専門用語の略語です。
SMなどのアルファベットで略した単語は最初に出てきたときはカッコで(セールスマネージャー)と書かれてあるので良いのですが、
それがしばらくしてから出てきた際はカッコ書きがなく、何のことだったかなと戻って確かめにいかないとなりません。
あとVPがなぜディスプレーのことなのでしょうか。(ビジュアルプレゼンテーション?)
専門書でもないし、読み手のことを考えればそれくらいの配慮はしてもよいのでは?
これは出版社にも責任があります。
ブームに乗っかった粗製乱造の見本かなという気がしてしょうがありません。
素晴らしい
★★★★★
伊勢丹の中の人は、普通と考えていることが、外部から見るととても興味深い。VMDについて科学的に分析されている上、平易に書かれていて読みやすい。この本は単に伊勢丹のノウハウを知ることが出来るだけではなく、日本の小売業に携わる多くの方が読まれて、感性センスの問題と言う古い考えの業界から離脱して、国内の店舗が美しくなることを期待します。
店づくり売場づくりの基本がわかる
★★★★★
多数出版されている伊勢丹本のなかでも、伊勢丹の強みであるMD、VMD、改装のノウハウを具体的に紹介したものとして出色の書。MD、VMD、改装のあるべき手法の教科書として店づくりに関わる人にも、店づくりをこれから学ぶ人にも役立つ本である。
熟読してみたい
★★★★★
伊勢丹と他社との違いはちょっとした違いとも言えるし、大きな違いとも言える。ア
パレルの友達に聞いたことですが、他社ではいきなり売場応援にかり出されたり、夜
の接待で仕入れが左右されることがあるが、伊勢丹では決してそういうことはない。
しかし商品の見極めはとても厳しい、と言っていたことをこの本を読みながら思い出
した。伊勢丹が良いということは漠然とは思っていたが、MD、VMD、改装面で如
何に優れているかがよくわかった。一部専門的で難しいところがあったが、文章も内
容もわかりやすく、一気に読んでしまった。これから熟読してみたい。