若さと技量と男気がぎっしり詰まった一枚。
★★★★★
氷川きよしくんのアルバムには毎回往年のカバー曲が収録曲
の半数は収録されてます。彼の歌唱はもちろん大好ですが
ご本家はどう歌っているの?と思うことが時々あります。
きよしくんが歌っている「無法松の一生〜度胸千両入り」
「花と竜」「皆の衆」といった村田英雄さんの代表曲が
全部入っているアルバムがないかと探していていたところ
このアルバムと出会い、即購入しました。
私が物心付いた時は村田英雄さんは「中年の思いっきり濃い
脂ぎったおじさん」で、勘弁な感じだったのですね。
「村田英雄」という歌手には興味がもてないままだったのです。
でも今回このアルバムを何回も聴いて、それはただ、私が
お子ちゃまだったからなんだ、としみじみ感じたしだいです。
カララオケで歌うと、眩むくらい難しい「無法松の一生〜
度胸千両入り」を、あんなにさらっと軽々、鼻歌を歌うかの
ように歌っているのです。しかも音源は今から半世紀近く
前のもの…と言うことは、若い時の声ですね。
「夫婦春秋」の「おまえ〜」のフレーズもセクシーで
ドキッとします。
中でも「蟹工船」は、若き日の「星野哲郎」「遠藤実」と
村田英雄の天才同士の、まさに真剣勝負の歌のように思えます。
一点の無駄のない緊張感溢れる詞、押さえた太鼓の音が全篇を
支配する大海原の波しぶきを感じる曲、そして色気と男気の
溢れる歌唱…ぞっこん一目ぼれの曲となりました。
人は死んでもこれだけのものを残し、こんなに大きな感動を
残してくれるのだと思える素敵な一枚との出会いに感謝です。