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哲学入門 (新潮文庫)

価格: ¥515
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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1993年5月10日 第57刷発行分
高校生だって読める ★★★★★
ヤスパースといえば近年、大澤真幸や仲正昌樹が各人の負う四つの罪という彼
の概念に着目したところから少々話題になっている。本書はそんな彼が生前、一
般リスナーに向けて語ったラジオ講演「哲学入門」を文字に起こしたものだ。もと
もと語りであったためにだろうか、哲学書としてはめずらしくですます調の、優しく
語りかけるような叙述が続く。おまけに訳もわかりやすく、新潮社版は字がデカく
ていい。

本書は、哲学とは一体何なのか、哲学するとはいったいどういうことなのかという
哲学への根源的な問いから始まり、科学や宗教との違いへと、話が広がっていく。
そのように哲学一般(それは構造主義以降の「反哲学」的な哲学を除く)を解説し
ながらも、著者独自の哲学もそこには挿入されている。「包括者」という、主体と対
象の関係以前にある存在というのが、彼の実存主義哲学における一つのキーワー
ドのように読めて、そこは難易度が高い。しかし、基本的には読みこなせる内容に
なっている。

本書ではギリシャ以来の哲学の流れも包括的に解説してくれるのだけれど、最終
的に著者は、カントの哲学もヘーゲルの哲学も、それらはみなカント、ヘーゲルで
終わっていると言う。カントやヘーゲルの哲学を学ぶ者は彼らの哲学を学ぶのでは
なく、彼らを下敷きにしながらも、みな自分固有の「ここ」と「今」の哲学を紡いでい
かなければならない、ということだ。

高校生でも大学一年生でも読める。ぜひ早めのうちに出会っておきたい一冊。
ヤスパースの形の「知への愛」 ★★★★★
 きっかけはハンナ・アレントの「暗い時代の人間」を読んだことで、あの評論集によって外部に自分を開いていく、という行為とその内容・意義がはっきりし始めた。その本でヤスパースは二章に渉って紹介されていた。その姿はアレントの恩師だっただけのことはあって、とても魅力的に描かれていた。以来、機会があればヤスパース自身の論考を読んでみたいと思っていた。

 タイトルは「哲学入門」になっているが、決して哲学に就いての普遍妥当な教理が打ち建てられている訳ではなく、あくまでヤスパース自身の問題意識の反映としての「哲学十二講」といった趣だ。その語られる内容の中に「神」が重要な位置を占めている部分など、哲学に関するお手軽な定義集を求める読者にとってはあまり役に立たない代物ではあるだろう。自分はヤスパース自身の思索の道程を辿りたかったので、その意味では非常に読みやすく、実に対話的に出来ている一冊だと感じた。

 哲学が始まる地点に就いての洞察、「驚きから問いと認識が生まれ、認識されたものに対する疑いから批判的吟味と明晰な確実性が生まれ、人間が受けた衝撃的な動揺と自己喪失の意識から自己自身に対する問いが生まれる」とするくだりや、哲学の振る舞いとしての「見る・問う・考える」の三つの作業、その帰結としての「示し得られる・開明できる・想起されうる」の三つの態度、十一章の終わりの、海を渡る蝶のたとえ、最終章の末尾の、現在を輝かせること、過去と未来を現在性によって輝かせ、そのことで現在をより輝かせよう、とする部分など、どのページにもヤスパースの明晰さと知への、そして勿論人間への愛が、読む者を目覚めさせようと息づいている。

 対話すること、他者と交わること、それが自己を意識し、構成していこうとする営為にとって不可欠であることを、こんなに納得させてくれる論者は今までいなかった。どこかしら、なにかしら強権的・抑圧的にしかものを語れない・聞けないのが今の時代の文法で、そんな中にあってこの本は自分に「哲学すること」に就いての一つの展望を開いてくれる。
感動しました ★★★★★
僕は現在大学生で、哲学の講義のない大学に通って、
そこの図書館で独習で哲学に取り組んでいます。

ソクラテス以前の哲学者から始めて、プラトンときて、
ショーペンハウアーにびっくりして、
そこからデカルトを経て、
そろそろ最近の人をかじってみようと手にとったのがこの本でした。


手にとった理由は、この人の『デカルトと哲学』という本を読んで
頭に名前が残っていたからというだけなのですが、
それにしても読んでよかった。


内容は一見難しいようですが、
用語の解説みたいなのが載ってる本
(僕は岩波新書の『実存主義』を見ながら読みました)
を片手にやれば、難しいのはだいたい用語(現存在とか実存とか)だけ
ということがわかると思います。


そして一旦内容がつかめ始めたら、あとはもうこの人の誠実でまっすぐな考え方に
心をざくざくやられることだろうと思います。
「人との交わりの中にしか真理は存在しない。」
哲学者の人にそんなこと言われると
元気に頑張ってみたくなるものです。


レビューというよりもただの感想になってしまいましたが
こういう感想も持てる本だということでご了承ください。
Philosophie ★★★★★
 この本は単なる哲学の入門書ではなくて、Karl Jaspersの哲学を一般人に周知せしめる書であって、一般的な哲学入門ではありません。だからTomas Nabel“Was bedeutet das alles”などとは大違いであるし、中島義道『哲学の教科書』とも全然違う。

 再度いいますがね、これはヤスパースの哲学を周知せしめるための書! 彼独自の観点から執筆された入門書であり、この観点から語ることが妥当であることを忘れてこの本を評価してはいけません。この書が単なる哲学入門書として扱われるならこれは本当の評価ではないし、この本に書いてあることを理解していないことを自ら暴露する以外の何者でもない。例えば第三章で出る包括者思想はモロにヤスパース思想なのだけれど、分かるかしら?

 この本はヤスパースについて知りたいという人にお勧めです。そしてかかる人たちはこの本を読んだら『哲学的信仰』に進むのが最良! 『哲学的信仰』の次は『哲学』(3巻全て)、『啓示に面しての哲学的信仰』などへ進みましょう。そこには開かれた地平がある!

俯瞰的な視点 ★★★★★
ラッセルの哲学入門も読んだのだが、同じ題名でも視点は全然違いました。哲学するとはどういうことなのかを知るにはおすすめできると思います。
様々な哲学者にも触れ、幅広い内容です。ラジオ講演を基礎としているので語り口調に感じました。