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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド [DVD]

価格: ¥3,990
カテゴリ: DVD
ブランド: ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント
Amazon.co.jpで確認
6年ぶりの映画出演で、アカデミー賞主演男優賞をあっさりと受賞したことから察するとおり、ダニエル・デイ=ルイスのハイテンション演技に最後の最後まで引き込まれる力作。彼が演じるのは、役名も同じダニエルで、油田を掘り当てることに夢中になり、富と権力を得ながらも破滅的な人生を送ってしまう男だ。俳優ならば誰もが演じてみたいであろう強烈な役どころ。人間とは思えない残酷さ、卑劣さをちらつかせながら、何かにとりつかれたような欲望と狂気で、2時間38分、緊張感を途切れさせないのは、やはりデイ=ルイスの名演あってこそだろう。
 ポール・トーマス・アンダーソン監督の冴えわたる演出は、石油が噴出するシーンで一目瞭然。天に向かって上がる黒い液体とともに、燃える炎、そこに向かって走るダニエルに、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッドによる重低音の音楽も相まって、映画的興奮をかき立てる。デイ=ルイスに負けない存在感を発揮するのが、主人公に対し、つねに反発するカリスマ的な宗教家イーライを演じたポール・ダノ(その兄も含めて2役)。人々を扇動する演説ぶりには鬼気迫るものがあり、ダニエルとイーライが長年の落とし前をつけるラストは、稀にみる衝撃度だ。(斉藤博昭)
★★★★★
私はこの映画を観てしばらくは
何が描かれていたのかよくわかりませんでした・・・が、
30分くらいして「はっ」と、気がつきました。
説明的な部分のない映画なのでわかりにくいけれどこれは実は凄い映画です!

注意!以下はネタばれあります。
これから観る人は読まないで
よくわからなかった方だけお読みください。

それは夢なのかただの欲なのか・・・野心家の主人公は嘘も汚い方法も平気で突っ走り
石油を掘り当て財を成してゆきます。
ただふと立ち止まると自分には大切なつながりが何もないのです。
血のつながりを求め、裏切られ・・・
育てた息子にも・・・
そして対照的な存在として描かれる神父に暴力をふるいます。

それは特別な存在になるためには手段を選ばない神父が
鏡のように・・・まるで自分の汚物のように見えてしまったからなのでしょう。

だからこそあのラストは自分自身の人生を殺したのでしょう。
気持ちの悪い神父は自分自身の鏡だったのです。

人を信頼することのない人間の末路・・・恐ろしいです。
ホラーのような不協和音のBGMもそんな恐怖を描くためだったのですね。
ベンチャー精神 ★★☆☆☆
真面目なオイルマンの一代記に思いました。
前評判からもっと狡猾でドロドロしたストーリーかと思いましたが
愚直に自分の道を進んでいく合理的で人間味のある男の話ではないでしょうか。

その勝ち馬に乗っかろうとする神父のキモさ、空気の読めなさ、自己陶酔感といったらもう爆笑ものです。
あれなんなんでしょうか。はっきりいってギャクですね。

愛息をポイするのも気持ちは分かる。だって自分が殺されかけたんですからね。
火付けされたらそれは怒るでしょう。
まして、それまで可愛がっていたんですからね。いくらビジネスに利用した側面があったとはいえ
作中見る限りは大事にしてますよね?
よって、オイル道にまい進する身としては致し方ない苦渋の行動に思いました。

オイルなんていう丁半博打的なビジネスを成功させるような人物は
このくらいアクが強くないと無理でしょう。
といっても、事故死した仲間を弔うなどごく最低限の人間性も保っていますし
土地の買収に関してもヤクザなやり方ではないようですしね。
殺してしまった、偽弟の件にしてもあれは偽弟がどうしてった悪いですよ。
当初は、肉親としての義理を通して受け入れたのに、裏切られたわけですから。

全体的に長くて少々退屈しますが、オイルマンのキャラと聴衆を前にした演説はいいですね。
それから神父のキモサ!!これも見所です。まあ悪い意味で。
いつの世も成功者のところには、それに乗っかろうとする奴や足を引っ張るものがいるものです。
今作では、成功を自分の手で掴み取ろうとするのがオイルマンで
自分の手のみでは成功はつかめないが、そのカスリをとってのし上がろうとするキモ神父の
コントラストが印象的といえば印象的です。
最初はしばらくの間、セリフもない場面が只管続くため、戸惑うかもしれません。 ★★★☆☆
20世紀初頭の米国で石油を採掘する子連れ山師が「黒い欲望」に支配されていく姿を描く。
主人公はやり手の石油採掘者。妻は他界し、1人息子を事業のパートナーとして国内を渡り歩いていた。

ある時、多量の石油が埋蔵する荒地を買わないかと持ちかけられる。
農夫を言いくるめて取得した土地での石油採掘事業は多大な富をもたらしたのだが、
1人息子は採掘中の事故で耳が聞こえなくなってしまう。

事業の継続のために息子を他人に預けて治療に専念させても彼は石油を掘ることを止めなかった。
そんな彼を神父は「人でなし」だと責めるのだが・・・・・・。

作中で噴出する「黒い石油」は人間たちの欲望の象徴だと思いました。
莫大な富を求めて群がる人間を狂わせていくもの。
逆にたびたび登場人物たちが呑んでいる「ミルク」は白い。
「黒」と「白」の対比は、「善」と「悪」の対比ではないはずなのですが・・・・・・。

世界恐慌という時代の荒波に呑まれ、石油で莫大な富を築いたはずの主人公の運命も暗転する。
神父との問答も落ちるところまで落ちた末の対決として必然だったのか?

栄枯盛衰。
栄えた後に来るであろう没落を人は予想できず、苦難を乗り越えた末の成功を人は信じ切れない。
テーマは、理性 vs 悟性 ★★★★★
この映画は理性と悟性の対立がテーマだと思う。
すなわち、理性は強欲・冷酷に、悟性は偽善に陥る危険があるなか、
両者の調和を図ることの困難さが示されている。

本来、個人の本質的分裂である理性と悟性の対立が、
主に二人に分担されて表現されている。
理性はダニエルが、悟性はイーライが体現している。

しかし、理性を体現するダニエルは悟性(肉親)で悩み、
悟性を体現するイーライも理性(お金)で悩む。
両者の調和又は妥協点がダニエルの息子なのかな。

音楽もいい。


現代アメリカへのアンチテーゼ ★★★☆☆
・現代アメリカへのアンチテーゼ
本作は1900年の鉄鋼業や石油業で反映を築きつつあるアメリカに住んでいるダニエルという人物を中心に現代(2007年ごろ)の絶対金融主義とブッシュ政権を支える福音派へのアンチテーゼであり、そして1927年(世界恐慌)以降のシーンはダニエルが没落し、ボーリング場で暴れる様はまるでリーマンショックのアメリカのように感じました。あくまでもこれは私の解釈で見た人の解釈は様々だと思います。また、リーマンショックはこの映画が公開される後の出来事です。

・長いし、説明が不十分。
2時間30分を超える本作は長く感じる。例えば、息子との再会のシーンは、遠くにいる息子へ向かってゆっくりと歩いている。これは、確かにダニエルの心の醜さを表していると考える面もあるが(再会であれば嬉しいので走るはず)、あれほど長々ととる必要が無いのではないだろうか。
また、説明が十分ではないため、理解ができない場面がある。例えば、1927年に息子と別れる場面の後、ボーリング場で突然寝ているため場面に切り替わる。私は初見の段階ではなぜ寝ているのか分からないため、戸惑ってしまった。