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西洋哲学史 1―古代より現代に至る政治的・社会的諸条件との関連における哲学史 (1)

価格: ¥4,725
カテゴリ: 単行本
ブランド: みすず書房
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哲学の名著 ★★★★★
怪しげな「客観性」を前提に書いた哲学史なぞは文章も内容も読むに耐えない。最低の読書しか保証しないと思うが、本書やヘーゲルの哲学史は、著者自身が真正面から哲学の諸説にぶつかって自身の思いを思いっきりぶつけている名著中の名著。十分に「文学」だし「哲学」だと思う。勿論、しばしば極論にぶつかり、異論はあるだろうが、それはどうでも良いことだと思う。本書は全3巻の最初だが、3巻のうち、最低限読むべきは、この1巻だと思う。まず、著者の、というより、当時の英国の古典学の蓄積の凄さに驚く。ラッセル自身は数学者であり、哲学といっても論理学者だが、当時の英国のエリートの教養を背景にしているだけあって、古典の名著が身に染みており、縦横に語ってくれる。だが、プラトン、アリストテレスの名に圧倒されて、普通に読書すれば明らかにおかしいじゃないか、と思うことに口を閉ざして賞賛するような卑屈なことをしていないところが良い。プラトンの「国家」にあるトラシュマコスとの対話など、どう考えてもソクラテスの言い分がおかしいことは誰の目にも明らかな筈で、明証性を重視しているかのようで、単なる信念の吐露に過ぎない点を見過ごし、「権威付け」する解説の巨匠が多く居るがラッセルは、そういう不正直なことはしていない。それでも、プラトンやアリストテレスの言わんとすることには十分に付き合っていると思う。批判はやや冷たく、つれないし、「古典を理解する」姿勢を疑問視する向きもあると思うが、私はこの方が痛快で正直な気がする。面白いのは、ソクラテス以前の評価が高く、別な意味でハイデガーと同じなわけで、20世紀の哲学者が「哲学」に疑問符を突きつけたその「地点」を考えさせられる。「社会」と「思想」の関係を唯物論とは別の仕方で論じる本書の姿勢は、第1巻で最も成功しているようであり、当然に時代が下る「近代」(第3巻)では、評価が分かれざるを得ない。でも、全編通じる特有のユーモアの漂う文章は圧巻で、3巻通読されることを強くお勧めします。
ノーベル文学賞受賞作ではありませんが・・・・ ★★★★★
哲学者がノーベル文学賞を受賞しているのは意外な気がしますが、1929年の『結婚論』を対象に1950年に受賞しています。文学作品として傑出しているのかと言うと、そうではありません。とは言え、文体は簡明で、英語の教材によくなっています。
最近ではノーベル文学賞というと、優れた文学作品に対して与えられるものだと思われていますが、過去の歴史をひも解いてみると、選定には2つの基準があったことが分かります。一つは、現在ふつうに思われている、純粋に文学的に優れた作品、もう一つは、人類の発展、進歩に寄与した人道主義・進歩主義的な作品です。本書は当然、後者の基準による受賞です。これで、ベルグソンンもサルトルも受賞対象になっています。もっともサルトルは辞退しましたけどね。
内容はラッセルの視点、いわゆる20世紀、科学時代の観点から、ギリシャ時代からの西洋哲学の歴史をざっくり見直すというものです。科学的成果等による後知恵からの過去の批判等は、今読むと、あまりに楽観的で、ちょっとナイーブな気がします。でも20世紀、特に前半はそんな時代でした。ラッセルはそんな時代の哲学者です。そんな時代がうらやましいです。気持ちとしては、同時代として体験できなかった60年代の映画、音楽等に対する憧憬に似たものかもしれません。
軽い読み物として(教科書には使わないように) ★★★☆☆
副題は「古代より現代に至る政治的・社会的諸条件との関連における哲学史」。ラッセルの考えでは、過去・現在の大多数の哲学者達は、数学的訓練を受けてもいないし、自然科学者のような客観的姿勢も欠いた、個人的に言いたいことをまくし立てているだけの、いささか個性的な素人集団のようなものなので、彼らの思想を良く説明するのは、むしろ彼らの持っていた政治的意見や個人的経歴、そして当時の社会的誘引等なのである。
したがって、内容的には悪口のオンパレード。皮肉屋の悪口は意地悪な楽しみにはもってこいでしょう。
ラッセルの思い入れに満ちた痛快な本 ★★★★★
哲学史という、これまたチャレンジングな試みをなせる人間はそうざらにはいない。哲学史を語るという事が、一つの哲学の表明になりそうならなおさら。この3部に分けられた「西洋哲学史」の著者、バートランド・ラッセルの場合はどうだろう?

3部構成の第一巻は、ギリシア文明の始まりからローマ帝国までを扱う。サブタイトルにもあるとおり、「政治的・社会的諸条件との関連における」哲学史とうたっていることもあり、歴史的文脈の中での哲学が語られる。それだけに、気楽な読み物としても十分利用できる。

現代の哲学の出発点は、ソクラテス以前にたちかえることにあるそうだ。気に入らない哲学者の理論を批判するときの、ラッセルの思い入れたっぷりの(別の意味で)語り口は本書の魅力。第一巻だけでも読む価値はある。