3部構成の第一巻は、ギリシア文明の始まりからローマ帝国までを扱う。サブタイトルにもあるとおり、「政治的・社会的諸条件との関連における」哲学史とうたっていることもあり、歴史的文脈の中での哲学が語られる。それだけに、気楽な読み物としても十分利用できる。
現代の哲学の出発点は、ソクラテス以前にたちかえることにあるそうだ。気に入らない哲学者の理論を批判するときの、ラッセルの思い入れたっぷりの(別の意味で)語り口は本書の魅力。第一巻だけでも読む価値はある。