ウチの子供は合気道を長年、習っている。でも、それが誰によって作り上げられたのかを知らない。せめて開祖の植芝盛平翁がどんな生涯を送り、合気道を編み出したかがわかってほしい、と読みやすい本を探していた。
合気道の解説本によくある「気」などについてのむつかしい解説で、子供の実習にバイアスをかける必要はない。その点、本書は話題が選ばれており、わかりやすく好感がもてた。

合気道の稽古をしている大学生以下の仲間達は、ご多分に漏れず本は読まない。津本陽氏の「黄金の天馬」ですら活字だと言うだけで敬遠されてしまう。さりとて開祖のことくらい知らなくてどうする！
開祖がこんな情けない人物だったと言うのは人によっては幻滅だろうが、私はむしろ開祖が神童・スーパーマンではなかったという点に安堵した。絵はかなり癖があるし、よんで面白おかしいものではないが、関係者なら彼の生涯は知っておくべきことだと思う。