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ジャクソンのジレンマ

価格: ¥2,700
カテゴリ: 単行本
ブランド: 彩流社
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何も言うことはありません ★★★★★
アイリス・マードックは「哲学者・小説家」と紹介されますが、より「小説家」だったのではないかと思います。根拠は、「哲学は小説執筆より難しい」とインタビューで語っていたから、というだけですが。天性の語り部ですね。
ブッカー賞ノミネート回数最多、などというのはどうでもいい記録ですが、あの人がノーベル賞作家でマードックはそうじゃない、というのはおかしな話です。スウェーデン人、バカだな。あ、ノーベル文学賞って各国持ち回り制でしたね。そんな「賞」やめちまえ、ですね。
二十代後半からコンスタントに小説を発表し続け、アルツハイマーの症状が出るまで、いや、出た後さえも書き続けたマードックの、これが人生最後の一冊です。実は十年も前に読んだ作品で記憶が曖昧です。ただし読後感、その余韻はよく覚えています。すべて解体するかのような、物語の「糸」がほつれていくような、不思議なラストに向けて進む物語でした。「物語」は人工物だということです。「意味の探求」は人工物だと。意味を求めてナイものをアルと人間は思い込むのだと。マードックは最終作で、「物語」を、「意味の構築」を、静かに放棄したのだと私は思いました。三島由紀夫もまた最期に「意味」を放棄しましたが、いささか暴力的な身振りが伴いました。それに比してマードックの静けさはどうでしょう。
「悔恨」 ★★★★★
結婚式の前夜、やっぱり結婚することはできないという手紙が花嫁から届いた。
その事件を契機に仲間内では混沌とした状態が続いていた。
そして徐々にそれぞれが胸の中に一人で持ち続けていた「悔恨」が吐露されはじめる。
絡み合った糸が解き放たれていき、少しずつ止まっていた歯車が動き出す。

序盤では淡々とした空気が流れていて少し読みにくいですが、中盤から終盤にかけての事件の全貌の暴露が始まると一気に物語はスピードを増してその世界に吸い込まれていきます。
序盤で出される多くの謎が次々と解き明かされていく様子は読んでいて爽快です。
人が誰でも抱く「悔恨」という心の煩悶を鮮やかに描き出しています。