本書は、朝鮮民主主義人民共和国発行の切手を読み解くことによって、切手に表現された国家意思と、人々のエトスとをあらわにする試みだ(著者はこれを「郵便学」と呼ぶ)。
600点を超える豊富な切手図版を使って展開された項目解説には、紋切り型の北朝鮮像を壊す痛快なリアリティーと、「遊び」がもたらすさまざまな発見に満ちている。「朝鮮戦争」の次に「朝鮮人参」が来るという50音順の無機質な秩序や、「力道山」や「テレサテン」が混じるというアナーキーな結果も、「郵便学」が持つ魅力だと言っていいだろう。そこにはアルファベット・オーダーを中世教会ヒエラルキーに拮抗させてはばからなかった、啓蒙時代の百科全書派に似た力が感じられるのである。
既存体系にこだわらぬ本書の元気さは、ページの小口(背と反対側のページの外側に当たる部分)に、少しずつずらして印刷された金日成と金正日の全身像にも感じられる。本を右にかしぐと左を向いた父親が、左にかしぐと右を向いた息子の全身像が、まるで隠し絵のように現れるという仕掛けなのだが、これを親子の政治姿勢を暗示した謎掛けだと深読みしたら、著者からはどんな答が返ってくるのだろうか。(今野哲男)
また、切手学という側面から見たとき、普通の本や普段のニュースからは計り知れない北朝鮮の思惑などを知ることができ、
へ~~と思う事もしばしば。
今回の竹島(独島)切手発行についても違う視点から考えることができると思います。
北朝鮮に興味のある方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか??