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レッツラ*ゴン (小学館文庫―赤塚不二夫名作選)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 小学館
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どっぷり漬かれ!赤塚ワールド! ★★★★★
不二夫ちゃん自らが、代表作と言っていた「レッツラゴン」。
初っ端からブラックユーモア、刺激的なギャグ展開は、
ある意味「天才バカボン」とも異なる。
他の評価を見ると、少々受け入れ難い読者もいるようで…
実際、赤塚さんの作品に慣れていない人は、そうだろうなぁと思う。
…慣れていないというか、赤塚さんの作品一つとっても多彩なので、
いわゆる家庭的、ほのぼのとした内容を好む読者にとっては、
「レッツラゴン」はまさに、拒否感を催すものであったのだろう。
正直言えば僕も、「おそ松くん」や「天才バカボン」の初期、
また「もーれつア太郎」のような、人情や人への気遣いを示した、
心の琴線に触れる作風が大好きだった。
こういったシーンには、何度泣いたかしれず、赤塚先生は、
人と人とのちょっとした触れ合いを描くのが、非常に巧みなんだと思う。

といっても「レッツラゴン」、これも非常に面白い。
この作品が一番好きだ、という人は、かなりの赤塚通じゃないかしら。
それはともかく、この作品は悪く言えば暴力的、良く言えば刺激的だ。
赤塚先生のこういった展開は、それ以前に「天才バカボン」でも披露されていたが、
――なぜ、ここまで過激な描写を赤塚先生は描いたのだろうか。
ファンとして推測するしかないが、思うに、ギャグを極めた結果ではないかしら。
その作風からも察する事が出来るが、赤塚先生は、
人を笑わせる・喜ばせる事が大好きな人だった。そういう意味も含めて、
彼の人生そのものもギャグであった、と言っても過言ではない。…

赤塚先生は、普通のギャグは既に十二分に描き出していた。
新しい作品を作るとすれば、更に向上していかなければならない。
同じことを繰り返していても、本人も飽きるし、読者も嫌だろう。
(実際、「天才バカボン」が過激化していったのは、読者の要望もあったのだ)

そこで行き着いた先が、“過激さ”にあったのではないか。

ただ暴力的であるだけでなく、そこにレベルの高いギャグを含んだ作品。
それを生み出す必要を、赤塚先生は感じていたのかも…と、
ファンの僕は勝手に想像してみるのである。
過激になった点はおそらく、当たらずとも遠からずだと思うんだ。
だから、表面的な描写だけで、酷評は早いんじゃないかな。
もちろん、やり過ぎがないわけでないんだけど、
当時の読者は、こうした過激なシーンも、何か暗黙の了解みたいなもので
作者の意図通り、ギャグとして受け止めていたと思う。
これが現実に許されるわけではないって、子供心にもわかっていたと。
(真剣に道徳を問うなら、今の漫画の方が余程問題だと思うんだが)

暴力描写の何が一番いけないって、それは“動機”じゃないだろうか。
人を傷つける、それを楽しもうという動機は、決して無害ではすまない。
でも赤塚先生は、そんな動機じゃない。
人を楽しませたかった、笑わせたかった、ただそれだけ。
目的は、人を傷つける事ではなかったはず。
だから自分は、(限度があるとはいえ)彼の作品を素直に受け入れてしまうのだ。

書籍について触れれば、赤塚先生のどの代表作をとっても、
良い話が多すぎて、到底一冊に収めきれるものではない。と思う。
だから、これを読んで作品そのものを味わった気でいるのは、間違い。
けれど、こうした傑作集を読んだ読者が、それを機に、
新たな世界を切り開いてくれれば、
赤塚ワールドに入場し、生きる喜びを見つけてくれれば、
ファンとしても、こんな嬉しい事はない。
赤塚不二夫が本当に描きたかった漫画 ★★★☆☆
赤塚不二夫自身が一番好きな作品と言ったように、真の赤塚不二夫を楽しみたいならレッツラゴンを読むべき。
しかし、「おそ松くん」や「もーれつア太郎」とは違い、レッツラゴンはシュールでかなり毒のある作品。
下ネタが多く、キング版おそ松くん同様に、好き嫌いが分かれてしまう作品なのかもしれない。
今思うと劇画タッチが増えたキング版おそ松くんも本当に描きたい作品に近づけようとしていたのかと考える…。
個人的には下ネタは苦手な方で、読んでる内に目を背けたくなるようなシーンがたまにあるのですが
ゴンが好きなので読み続けてます(笑)
内容は頂けないところがあるが、キャラクターが好きなので星3つ。
あまり知られてないのが不思議なくらいの、これが赤塚不二夫の真骨頂です。
下品度100%以上の作品 ★☆☆☆☆
「おそ松くん」「もーれつア太郎」「天才バカボン」等でもお馴染み、赤塚不二雄の隠れた名作(?)、「レッツラ*ゴン」の文庫本です。
おもしろいのはおもしろいのですが、下品の度をかなり通り越しています。
その挙げ句の果て、ギャグもかなりのブラック(?)です。纏めて言えば「下品度100%/ブラック的な作品」です。僕自身、あまり好きな作品じゃありません。多少笑える話もありましたが、下品の度を通り越しているには退いてしまいました。
よって、きついようですが、評価の星は一個です…。
これを知らずに今まで生きてきたことを恥じる ★★★★★
 バカボン・ア太郎・おそ松・アッコちゃんとアニメ化されてきたものしか知らず、丁度品切れになっていた武居記者の著作『赤塚不二夫のことを書いたのだ!!』の予習程度のつもりでこの本を買いました。

 しかし、読んで行くうちに、「皮膜のところで踏みとどまるか、そこを突破するか瀬戸際の緊張感」(p.331 武居記者による「解説」)が見せる“ギャグ”に笑いながらも慄然としました。そしてまた、極限の世界を展開しながらも、あと一歩のところでマンガとしての領域に踏みとどまり続ける赤塚不二夫という、まさに不二の作家の偉大さを思い知らされました。

 30年も前にこういう世界が繰り広げられ、それを知らずに来たことを恥に思うほどの名作です。個人的には、音楽でもベスト版のヌルさは嫌いなのですが、ゴンを知らない人はまずこの本でそのインパクトを経験すべきでしょう。

見逃せない作品。 ★★★★★
赤塚不二夫自身が「一番好きな作品」と言っているのがこの「レッツラゴン」。「おそ松くん」のユーモアが「天才バカボン」でナンセンスに近づき「レッツラゴン」でシュールになった。これが僕の目指していた世界だった、とも語っている。確かに、笑いとゾッとする紙一重の当たりでギャグが構成されていて健康な高笑いをもたらすものではない。少年サンデーに連載されていて、「おそ松くん」や「もーれつア太郎」ほどには評判にならなかったように記憶している。少年雑誌には向いていなかったのだろう。当事としては、早すぎたと思える笑いの種類で、むしろ今の笑いに近いのではないだろうか。ツービートなんかの毒ガス的笑い(古いか?)に近いか。そういう面では、当事よりも、現代の若者に理解されやすいのではないかと思う。天才赤塚不二夫の到達点という見逃せない作品である。この本は、「レッツラゴン」の総集編的なもので、まず最初に手にとって見るには最適であろう。是非一度お試しあれ。