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志ん朝の落語〈1〉男と女 (ちくま文庫)

価格: ¥998
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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この本の功罪について考え直してみました。 ★★★☆☆
 前回レビューを書いたときには、☆5つでした(第5巻は操作ミスで一つになってしまいましたが、5つです)。

 その後、もし私のリストマニアをごらんいただいた方ならお分かりのとおり、順次合計100枚以上のCDのレビューを書かせていただきました。もちろん、志ん朝師匠のCDで持っているものは、まだ全部ではありませんが、相当数書いています。ところが、不思議なことに、CDへのレビューはほとんどないのですね。大体私が、「最初のレビュー」です。前回、CDをそろえましょうと提案しましたが、どうやら、この本は買ったけれど、CDは聞いていない人が相当数いるのではないかと思えます。

 この本では、円生100席も担当した京須 偕充 さんが、師匠の微妙なしぐさなどを「邪魔にならない程度に」括弧書きしてくれていますが、仮に声に出して読んだとしても、この本に収録された師匠の話芸は再現は困難でしょう。

 落語は、もともと、話芸なのです。文字で読むものではないのです。この本はこの本に収録された噺を全て聞いた経験のあるものには、電車の中で読んでも再現できるでしょうが、聴いたことのない人には、師匠の真実の姿が正しく伝わらないのではないかと言う危機感に襲われました。

 もしこの推測が正しいとしたら、この本は編者の意図を離れて、師匠の至芸を味わう機会を奪ってしまった罪な本になるのかもしれません。この推測が外れることを、切に願うものであります。

  

志ん朝の声が聞こえる ★★★★★
志ん朝が死んだとき、衝撃を感じた。本当に古典落語を丁寧にやってくれるので、最後にちょっとしか笑わないのに、とてもおもしろく感じる噺にまとめてくれるのがよかった。
このシリーズはとても丁寧に志ん朝の噺をまとめていてくれる。読んでいると志ん朝の声が、しぐさが、「間」が伝わってくる。
今の「お笑い」とは全く別次元のあの雰囲気。懐かしい。

特にこの巻は「男と女」と題して郭噺(くるわばなし)がまとまっている。今はほとんど演じられなくなった「お直し」にはまいった。もうこれを演じられる噺家はいないのではないか。
本当に惜しまれる。そして、こんな演題を受け入れられなくなっている世の中がよいことなのかどうか、わからなくなってしまう。

早すぎる死でした ★★★★★
志ん朝は、落語界の21世紀前半を支えるはずだった。残念な死である。
この本は1980年から2001年までの口演を録音したものを筆記したものである。
志ん朝は色気ある落語は色っぽく、あるいは色事に通じていない娘は恥じらった姿をみせ、すばらしかった。そんな志ん朝の落語のうち、この巻は「男と女」の話。

「明烏(あけがらす)」のうぶな若旦那、「厩火事(うまやかじ)」の、年下の道楽者と暮らす髪結い屋の女・・・男と女の機敏をじかに感じ取ってください。

志ん朝の声がないのは悲しいけれど、読んで想うだけで志ん朝が甦ってくるようです。全六巻シリーズの第一巻。続きもお楽しみに。

読むのもいいもの ★★★★★
志ん朝の落語は、文字で読んでも楽しい。志ん生は文字で読んでもあの雰囲気は伝わらないし、円生のはちょっと重たい。
ちくまの落語のシリーズは大体押さえているが、その中でも一二を争うくらいのいい出来栄え。なにせ、口調そのままの江戸弁を振り仮名に使っているところがいい。

ただこれは無理なことだが、前の米朝のシリーズのように、志ん朝自身のそれぞれの噺に対する感想が欲しかった・・・