深遠な武術空手の妙技
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宇城師範の著書第二弾。「武道の原点」では型の写真が主であったが、本書では基本動作のやり方と、武術空手の上達とはいかなるものかということに焦点が当てられている。また後半には座波師範と宇城師範の座談会の様子もあり、昔の空手を窺い知ることができる。
本書が上梓された当時は他には「武道の原点」しかなかったが、2008年の現在としてはDVDを観てから読まれることをお勧めする。というのは、技が「できた」ときの状態が写真で掲載されているのだが、この結果を作り出すため小手先の技法を用いてしまい、「似て非なるもの」に堕するおそれがあるからだ。その点、DVDなどで先に宇城師範の動きを観ておけば、そうした誤読を回避することができるだろう。
すでに何冊か他の著書を読んだ人には是非お薦めしたい一冊である。宇城師範の著書は難解ではあるが、同じ事象を違う表現で何度か読むことは理解の一助となることは間違いない。インスタントな読みに飛びつかず、じっくりと腰を据えて読むことをお勧めする。