わからないけど楽しい
★★★★★
正直なところ、読んでもよくわからない。しかし、わからないとは言っても、投げ出してしまいたくなるようなわからなさではなく、また読みたくなるわからなさだ。読んでいるとなんだかわくわくしてくる。単純に宇城師範の高度な技量への憧れもあるが、文体や写真から窺える宇城師範の優しさにどこか惹かれるせいもあるだろう。他にも、常に師匠の座波師範を立てることや、歴史ある伝統の型への感謝から宇城師範の謙虚さを感じ取れることも忘れられない。
ただ、この本は宇城師範の書籍に初めて手を出す人には不向きだと思われる。話がやや抽象的であるし、初めての概念に戸惑ってしまうことが予想されるからだ。初めての書籍には「武術を活かす」か「武道の心で日常を生きる」をお薦めする。武道経験のある人には「武道の原点」を加えてもいい。宇城師範を全く知らなかったという人は、先にDVDを観て素直に感動してからの方がより書籍を楽しめるだろう。
本書はある程度下地を作った人(3冊くらい読了)に是非お薦めする。それくらい読んでいれば「わからないけど凄いことだけはわかる」ようになっている。こういう感覚はとても楽しい。