美女と液体人間 [DVD]
価格: ¥5,040
「電送人間」「ガス人間第一号」と並び、“変身人間シリーズ三部作”と称される、東宝特撮映画。監督本多猪四郎、特技監督円谷英二、製作田中友幸の名トリオが、アダルトな雰囲気をも盛り込んだサスペンス映画に挑戦。核実験による放射能の影響で液体化した人間が東京に出現し、人間を襲って同化する。「ゴジラ」など怪獣のキャラクター性を主軸にした特撮演出ではなく、あくまでストーリーを進めるための必然から発生する、液体人間の映像表現は、さすがの円谷英二も苦心したようである。だがクライマックスで展開される大規模な液体人間討伐作戦のシークエンスは、ダイナミックなビジュアル、佐藤勝の爽快な音楽にテンポの良い編集、そして入り組んだ形状の下水道を再現した出色のミニチュアワークといい、液体人間の描写ともどもその効果は絶大であった。
エンディングに流れるナレーション「人類が絶滅した時、次に地球を支配するのは液体人間であるかもしれない」には戦慄を禁じ得ない。余韻と奥行きのある、見事な幕切れである。(斉藤守彦)