ポー短編集を1冊選ぶなら、これ
★★★★★
ポーの短編集を1冊選ぶとしたら本書をお勧めする。作者作品の真価を味わうのに必要にして最小限の作品が掲載されている。それにポーの肖像画とか資料写真や年譜も掲載されており、他の文庫本の短編集よりも資料価値が高い。
掲載作品は次のとおりである。
・リージア
・アッシャー館の崩壊
・ウイリアム・ウィルソン
・群集の人
・メエルシュトレエムの底へ
・赤死病の仮面
・黒猫
・盗まれた手紙
掲載作品の中では『盗まれた手紙』が異質ではあるが、推理ファンとしては外せない作品である。どうせなら『モルグ街の殺人』も入れてくれていたら言うことなしである。
なお、『アッシャー館の崩壊』は『アッシャー家の崩壊』の訳題が一般的だが、「家」ではなく本書の「館」の方が適切である。「アッシャー家」では家庭内の崩壊みたいだが、実際には建物が崩壊する作品なのだから。
(実際、私は作品を読むまで、アッシャー家の家庭が崩壊するまでの登場人物たちの心理を描いた作品かと真剣に思っていた。)
短編なのが読みやすい
★★★★★
この本には、エドガー・アラン・ポーが書いた代表作のうち
4つ("The Black Cat", "The Oval Portrait", "Berenice",
"The Mask of the Red Death")がリトールドされて収録されている。
日本でも怪奇小説で有名なポーの作品を、1200語程度に制限された語彙の中で
気軽に読める、お勧めの本です。しかも、4つの話にわかれているため、
短い話をたくさん読みたい読者にも向いています。
夏の夜などに、よみたくなるちょっと怖い内容ですよ。
おどろおどろしい短編集
★★★★☆
久しぶりに読み返しました。
本書では特に、『黒猫』と『赤死病の仮面』と『アッシャー館の崩壊』なんかが好きです。
ポーの作品は、奇妙で面妖な雰囲気で物語が進み、最終的にはオチをつけるものが多いことが印象的です。
『黒猫』での、主人公のラストでのあの行動は、ポー自身の性格をそのまま現しているように思います。
なんでもポーは、例え何かの物事が上手くいっているとしても、何故だか逆にどうしてもそれを破壊したい衝動に駆られ、そして実際にそうしてしまうという悪癖を抱えていたそうです。
いずれにしても、ポーは、良い意味でのおどろどろしさを表現でき、その奥には自流の思想も兼ね備えているセンスある作家の一人だと思います。
何処となく、中学生の頃に読んだ漫画『金田一少年の事件簿』を想い出したりしました。
血も凍る
★★★★★
かわいがっていた黒猫プルートゥの目をくりぬいて殺した夜、家の壁に浮き出た猫の姿・・。血も凍るような思いで読みました。ポーは怪奇小説の天才ですね!あまりに衝撃的な作品だったせいか、現実で黒猫を見かけるとちょっとひるんでしまいます。