静かな情熱
★★★★☆
平田オリザがかなり激しい人だとわかる。これは意見を明快に
冷静に言い切る点にそれは見られる。そんな人柄を作り出した
半生が自らの言葉で描写される。人と違う道を歩んだだけの
ことはあると思わせるものが語られており、演劇人平田の思想を
裏打ちする一冊ではないか。個人的には劇論、脚本を読みたく
させた一冊でもあった。
二種の対談を掲載しているが、どんな場でどんな人と対談した
のかという基礎的情報があるとなおよい(この点は不備であろう)。
自分で考える力がつく本
★★★★★
面白かった。一気に読み上げました。平田氏の生育から掴んできた、世界観。しかし、それが、独善的でないのがいい。たとえば、「演劇の平田さん」とか「舞台作りの平田さん」とか、彼の業績や社会的評価を知っていて、そのハウツウを得ようとしたら物足りないのかもしれないけれど、その分間口が広いので、教育に興味がある人、文化に関心が高い人、地域作りに心を砕いている人、組織のマネージメントを任せられている人、今の日本に元気がほしいと思っている人など、何らかの問題意識を持って暮らしている人には、目から鱗の世界観とその世界での生きる気構えみたいなものが、力まずに伝わってくる本でした。まあ、「気楽」にページを開いて下さい。思わぬ宝を手にできるかもしれません。
演劇の歴史・ビジネス。オリザの思想
★★★☆☆
「演技と演出」、「演劇入門」と平田オリザの演劇入門書とは違い、彼自身の考え方、日本の演劇に関する歴史、これからのアートビジネスといった感じの一般教養書的内容。
彼自身のシビアなものの見方がいかに形成されてきたか、それは現在どのように劇団・劇場経営に活かされているか、演劇プロデューサーにはためになる話かも…。劇作家・演出・役者も劇団経営の厳しさを見つめなおす上ではいい本だろう。