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市場・知識・自由―自由主義の経済思想

価格: ¥2,940
カテゴリ: 単行本
ブランド: ミネルヴァ書房
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本当の保守思想の教科書として最適 ★★★★★
現代では保守主義と呼ばれる思想を確立したハイエクの8編の論文集。経済史に詳しくないと少々難解なところもあるが、短い論文で構成されているので読み易いほうだと思う。

保守とは一体何なのか。右翼/左翼とは本来どのような思想から生まれたものか。そして日本における保守と革新双方の異常性・特異性を理解するのに役立つ一冊である。

ハイエクがなぜ保守思想の理論的支柱と呼ばれるのか、知の巨人と呼ばれるのか、そしてなぜに戦後日本で意図的と言えるほどにその業績が隠されてきたのか、その理由が少し飲み込めた気がする。

人間の合理性や理性を無条件に信じるな。結果の平等を政府や法律に求めるな。歴史や伝統に裏打ちされた社会的正義や立憲君主制こそが社会の安定と発展に寄与するのだ。
こんな主張は戦後民主主義的左翼によって抹殺されて当然だったのだろう。
ハイエク入門書 ★★★★☆
この本はハイエクの論文を日本人訳者が趣味で並べたもの。想定される読者を挙げてみよう。

・思想家→「真の個人主義と偽の個人主義」(一章)および「自由主義」(八章)
・理論家→「社会における知識の利用」(二章)および「競争の意味」(三章)
・経済思想家→「医学博士バーナード・マンデヴィル」(四章)、「デイヴィッド・ヒュームの法哲学と政治哲学」(五章)、「経済思想史におけるメンガー『原理』の地位」(六章)「回想のケインズと『ケインズ革命』」

ただし、過去の経済思想家の業績に関してはハイエクの思想の枠組みから汲み取っている。実際マンデヴィルやヒュームについては彼のいう「自生的秩序」に近い概念の発芽を見ているし、メンガーについては彼の問題意識となる「情報の在り方」を見ている。その意味で四五六章は広い意味でハイエクの思想を表す論文ともいえる。

また訳者の得意分野は思想史なので、一般均衡について触れた箇所(二章、三章)は日本語として生硬になっている。動態的な分析をする参考にしたい人、もしくは知識を分散させるメカニズムという発想のルーツに触れたい人は直接原論文にあたるのがよかろう。

特に自分が面白いと感じたのは1章だった。「個人主義」は政治用語として曖昧化され、混乱して使用されているとする。真の個人主義は強制的権力の必要を否定するのではなくて、強制的権力を制限することを欲するとする。偽の個人主義は社会主義や全体主義に結びつくとしている。個々人の行動が思いもかけない結果を生むというプロセス自体を重視しているのがいかにもハイエクらしい。

ハイエクを特徴付けるのはその徹底した原理主義だ。デカルトやルソーに端を発する大陸的な合理主義に対し敵視といっていいようなものをぶつけている。社会の変動に対してしっかり理解できていないくせに――ハイエクは比較静学そのものに対して批判的であるように見える――その設計主義的合理主義に基づいて政策を作るなということなのだろう。その後の経済学で発展したメカニズム・デザイン(Nash Implementationは「隠れた知識を引き出す」もの)や情報の経済学、契約理論に影響が見られる。それらの概念は経済学の扱える範囲を拡張してはいるものの、ハイエクの批判に答えるまでに至ったか?彼の批判は木によって魚を求めるようなものなのか、それとも本質的なものなのかは今後の理論家の努力によるだろう。
ハイエクの思想をつかめる短論文集 ★★★★★
ハイエクの短い論文8本を収録した本。
一つ一つが完結しているので短い時間でも読めて、それでいてハイエクの思想のエッセンスがわかる。

やはり、最初の「真の個人主義と偽の個人主義」と最後の「自由主義」の2本の論文は外せない。
ここでいう「個人主義」は「自由主義」と同義で、彼の思想の軸であろう「自生的秩序」や「意図せざる結果」にも触れられる。

ハイエクは、人間の理性は限界があると考え、また人間の無知についてもきちんと認識していた。
ゆえに、彼は人間理性に頼りきった計画的な社会というものはいつか誤ると指摘し、歴史的に自生的に構築された秩序の方を取る。

あと、マンデヴィル・ヒューム・メンガー・ケインズといった人々を取り上げた思想史の論文も納められている(ケインズは少し違うが)。


今日の日本で通用しているような「自由観」とは違う見方を与えてくれる本である。
自由主義の意味と歴史 ★★★★★
様々な意味で使用される自由主義について、ハイエクは歴史を紐解きながら本来的な意味を明確に定義しています。
また、自由主義と民主主義は異なるものであり、民主主義なき自由主義も、自由主義なき民主主義もありえることを説いています。
更に、政治・社会・経済は相互に密接に関連するものであり、その一つを単独では考えてはならないことを再認識させてくれます。

あと、デビット・ヒュームが1740年に出した「人間本性論」において、
既に現在の最新の人間に関する自然科学(脳科学・進化心理学など)でようやく解明されてきた洞察をしていることを知ることができたのは想定外の収穫でした。

最近の社会科学はとかくより細分化された領域についての研究が多いように思われます。
それはそれで大事なことだと思いますが、ハイエクと本書で取り上げられたハイエクに影響を与えた社会科学者のような、
社会全体を俯瞰した研究も進めて欲しいと思います。
今日の時代を考える ★★★★☆
ハイエクの著書と考えると、少し難しいと感じてします。しかし、現代日本で抱えている問題を考える上では非常に参考になる。つまり、「構造改革」を実現するには問題の本質を見抜く必要があり、著者はそのような問題について「自由主義」という観点から強く主張し続けてきたからである。多少難しい表現もあるが、臆することなくトライしてもらいたい。