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ダブリナーズ (新潮文庫)

価格: ¥680
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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意外と!!おすすめ ★★★★☆
ぼくの「いつか読みたい本リスト」の中の一冊に「ユリシーズ」がありますが、ジョイス作品と聞くとなんとなく難解なイメージがあって、ついつい尻込みしています。そんな時、本屋さんで目に付いたのがこの新訳「ダブリナーズ」。装丁もよく、訳者もジョイス研究の第一人者の柳瀬氏ということで、手に取りました。短編集というとヘミングウェイ、カーヴァー、フィッツジェラルドなどアメリカ人作家のものを読む事が多く、どうかなと思っていましたが、読んでみるとアイルランド・ダブリンの固有の雰囲気が伝わってきて引き込まれました。話はそれぞれ独立していますが、語られるトーンや状況に統一感があるので、連作小説のような趣もあります。普通に読むぶんには全く難解さも感じず、楽しめましたが、訳者のあとがきを読むと、さすがにジョイス!いろいろ凝っているんですね。さあ、柳瀬先生、「ユリシーズ」の完訳お待ちしています。
ダブリナーズは、日本語ではない  ★☆☆☆☆
「ダブリン市民」で、どこがいけないの? 新訳ブームも結構だけど、他と差別化するためだけの新タイトルは、いい加減にしてほしい。
ダブリンの退嬰的世相やEpiphanyを描いた傑作〜柳瀬氏の新訳も特筆もの ★★★★★
当時、世界一退廃した街と言われたダブリンを舞台にした連作短編集。旧来、「ダブリン市民」の名で知られていた作品だが、柳瀬氏の訳で新しく甦った。

各編は各々独立しているのだが、「あの話に出て来る司祭とこの話の司祭は同一 ?」等と考えさせる辺り、計算尽くしなら凄い。各編はダブリン市民中の、一途な少年、女性経験の乏しい青年と悪友、男との交際を父親に咎められた若い女性、アル中の会社員・商人、場所柄をわきまえない強欲な母親等の各階層の人々の体験や突然舞い降りる天啓(いわゆるEpiphany)を描く事によって、当時のダブリンの退嬰的世相や人生の一断片を浮かび上がらせたもの。登場人物に必ずしも感情移入出来る訳ではないのだが、捻った構成で読む者を唸らせる。全体として、イギリス本土を含むヨーロッパに対するアイルランド人の矜持が窺える。これらの特徴を凝縮したのが最終作「死せるものたち」で、作中に溢れる情愛の念には感動した。各編の冒頭には、作品縁の挿絵が挿入されており、雰囲気作りに貢献していると共に、編集者の意気込みが感じられる。特に、「エヴリン」では、発表当時(ペンネームは別)の掲載文が載っており、ビックリした。

本作の場合、柳瀬氏の訳にも触れておく必要があるだろう。非常にこなれており、単なる翻訳の域を越えて、完全に日本文学になっている。ダブリンの人々や街の様子を、初めから日本人作家が書いたかのようである。巻末に、「翻訳秘話」が載っていて、ジョイスが原文で用いている"言葉遊び"や各種の引用を、柳瀬氏が如何に翻訳したかが丁寧に説明されている。「フィネガンズ・ウェイク」と同様だが、この解説を読むのも楽しい。

難解と言うイメージのため敬遠されがちなジョイスだが、本作は(少なくとも見かけ上)平易に書かれている短編集なので、入門と言う意味では最適なのではないか。
画期的新訳 ★★★★★
 文学部の出身でもなく、ましてや英国文学の専攻でもない私でも、ジェイムズ・ジョイスくらいは知っている。彼はアイルランド出身の画家ではなく作家で、「ユリシーズ」の作者であることぐらいは知っている。

 アイルランドといえば、エンヤさんの故郷であり、U2の出身地でもあり、The Beatlesのメンバーの出生DNAも何らかの形で関係がなくもない。

そのジョイスの"Dubliners"の新訳ということで、ましてやあのうるさ型の柳瀬尚紀の訳ということで、日本のジョイス・オタクとかジョイス専門家は戦々恐々のはずのはず。「ダブリン市民」とか「ダブリンの人々」より「ダブリナーズ」のほうが、「そのままやんけ」と言われようが、なんと言われようがそのままだからいいのだ。「長いお別れ」ではなく、「ロング・グッドバイ」であり、「助けてくれ!」ではなく、「ヘルプ!」なのだ。

 「解説」で棚瀬が自ら述べているが、訳文の懲り方は尋常ではない。この「解説」、実に面白い。英文科でなくても、ましてやジョイスの専門家でなくても面白い。経営コンサルタントを生業としている者にとっても面白い。新教徒の「メソジスト」に対しては「めそ児ッたれ!」とする心意気、「執達吏」には「ひったくり」とルビを振る小気味よさ、"winnowed"を「簸(ひ)られた」と訳す日本語力。本人も言うように『日本語は天才である』。

 腰巻にもあるように「画期的新訳」であり、2009年の日本の読書第1四半期における最大の話題書である事には間違いがない。