痕跡 (上) (講談社文庫)
価格: ¥750
第1作『Postmortem』(邦題『検屍官』)が批評家たちの賞賛と記録破りの5つのミステリー新人賞を獲得して以来、「スカーペッタ」シリーズには数多くの類似作品が生まれたが、同シリーズを凌ぐものはいまだ登場していない。5年前に辞めた検屍局から協力の要請を受けたスカーペッタは、自身の判断にも、ベントン・ウェズリーと姪ルーシーの忠告にも反して、14歳の少女の死をめぐる事件の顧問病理学者としてヴァージニアに戻ることにする。ピート・マリーノとともに古巣を訪ねると、馴染みのモルグや部署はすっかり様変わりし、スカーペッタの手腕を頼みにしているはずの新しい検屍局長からは、なぜか侮蔑的な扱いを受ける。だが相変わらずプロ意識の強いスカーペッタは、さっそく証拠を洗い直し、くだんの少女が何者かに殺されたことを突き止める。さらに彼女はある痕跡を発見するのだが、同じ痕跡が別の事故の犠牲者の遺体から、またルーシーの同僚が襲われた現場からも見つかった。それは単なる捜査上の謎ではなく、スカーペッタのごく身近な人々を誰かが狙っている可能性を示すものだった。