勉強になります。
★★★★★
私は医療従事者ですが、大変勉強になります。精神科領域に携わる医療従事者はもちろん、違う医療従事者も知っていて損はないです。各病棟などに一冊ずつ常備して欲しい本です。
軽視されてきた身体副作用に光を当てる名著
★★★★★
他のレビュアーさんの評価で、全て言い尽くされている気もしますが、私もひとこと申し上げます。
精神科分野では、まず精神症状を抑えるべきであり、身体副作用はあって当然、がまんしろ。という空気がありました。私も、抗打つ薬のパキシルの初期副作用で、腸閉塞になりかけの便秘になり、七転八倒したクチです。でも、処方したドクターは、何か問題が?という感じでした。
こういう状況にあって、もっと身体のつらさのケアにも目を向けようよ、という観点で書かれたのが、この本です。
最近の精神科薬物療法は、今までの多剤大量から、新薬を単剤少量処方する方向へとシフトしてきたので、この本の内容もいつかは古びるでしょうが、しかし、統合失調症患者への鎮静剤大量投与のやり方は、これからも続くでしょう。当分は身体副作用の問題は消えません。
ドクターやスタッフのみならず、患者家族や、医薬品問題に関心のある消費者にも一読して欲しいと思います。
抗精神病薬の副作用に改めて注目
★★★★☆
本書は統合失調症治療薬である抗精神病薬の副作用の代表的なものを取り上げて解説している。
著者は精神科病院で身体疾患の治療をしている内科医だという。
身体副作用は、主に、循環器系、呼吸器系、消化器系、内分泌・代謝系、神経・運動器系、免疫・アレルギー系にわけて全部で二十の病態が紹介されている。
読後感だが、従来の教科書とは違い、薬を服用しなくてはいけない患者の側に立った記述が多いように感じられた。
不快な副作用を避けて、あれを除き、これも除いていき、論旨は少々理想的なままかと、読み始めた当初は思ったが、
著者もそこまでは断言せず、理屈ですべて割り切れるわけではない臨床のさまざまな実態に配慮した書き方をしておられる。
服薬のコンプライアンスにとどまらず、アドヒアランスとか、さらにコラボレーションなどという最近の流れについても解説されている。
読みやすく、知識の整理にも役立ち、いっそう精神科治療の視野が広くなる本である。
全くご解説の通り。
★★★★★
「抗精神薬」=「統合失調症」の薬というイメージが高いかと思います。実際の普通
の利用方法として選択される薬でもあります。
その抗精神病薬、特に非定型と呼ばれる薬が間違った形で安易に処方されています。
統合失調症以外の患者にも「何もかもの意欲を無くし鎮静させる」用途で使用されて
います。患者を医師の意見のイエスマンにさせる為に使われることも多いのです。
そのことを指摘する本も現在は数多く出版されているようですがまだ周知されていな
い、気がついていないのが実情です。もっと言えば医師や製薬会社の隠蔽か?
また統合失調症向けの薬剤は高額なものが多く、自立支援法や旧公費負担にて患者の
気づかないうちに国保や社保や保険組合から医師、製薬会社へと利潤が回っていくの
です。
その「身体副作用」というのはこの本に書かれている通り多岐に渡ります。なかには
いちど受けた副作用を完治させることは難しい病気もあります。それこそ早期発見、
早期治療に尽きます。わたし自身、沢山の内科的副作用を受け、気がつくのが遅けれ
ば、待っていたのは「早死に」でした。
統合失調症患者、患者家族、そして別の病気にて抗精神病薬を投薬されている人には
是非読んでいただき、自分がどのようなリスクのある薬を処方されているのかを理解
することが肝要です。医学書ですので人によっては内容が少し難しめに書かれている
と感じるかもしれませんがそれでも一般の患者にも平易で分かりやすく説明している
本です。
診断と処方に踏み込まないのは偽善
★☆☆☆☆
内科医だからか、保身か。ここまでわかっているなら、なぜ診断と処方が間違っている場合について言及しないのか。third disease などと格好をつける前に、その前の病(診断と処方の間違いによる disease )をなぜ見てみぬふりをするのか。いや、すこしだけ遠まわしに触れている。もっとがんばってほしい。
この本は薬剤メーカーが喜んで配っている。薬剤メーカーにとっては薬は売れるし、保身になるからだろう。
ただ、内容はわかりやすく、役に立つ知識も多く、評価できる。索引が間違っていたが。