私が最も愛する漫画のひとつです。であるが故に言わせてもらいます。ペンギンの話、いらないでしょ。表紙まで飾ってしまうところが驚きです。こういう編集部と作者の馴れ合いみたいな話といちばん似つかわしくないのが柳沢教授だと思います。まあ、雑誌の企画モノかなんかに描いてしまったものを、描いた以上、単行本に載せないわけにはいかなかったのでしょうが。この一話があるが故に、ちょっと損した気分になった２７巻でした。

柳沢教授は個性がありすぎなので、好む好まないの差があると思うから星は3つです。しかし、柳沢教授の世界観と美女が歳月をかけ、どこにでもいる小太りのおばさんになってしまった奥様とのチラッと見える夫婦愛や純粋に「疑問」を持つことの嬉しさを見つけることができる話が満載なので「少し大人になりかけた人から大人になってしまった人」が一度読むといい作品です。この巻では初めて柳沢教授の兄弟が出てきます。兄弟のエピソード「じわーん」ときましたよ。

山下和美、恐るべき才能の27巻目。第1話は、さながら昨年のノーベル賞複数受賞の日本人の陰を描くようだ。黒猫に変身する教授の1日の奇想天外、長崎ペンギン水族館（ああ、憧れの！）探訪紀は教授にかかっては単なる観光ものに終らず、老齢なタクシー運転手との対話では最後の1ページの美しい「結論」に唖然とし、柳沢兄弟の久々の邂逅に頬が緩む

柳沢教授ご本人を除けばどの話も静かな日常なのに、柳沢教授が足を踏み入れればそこに見事な華が咲く

「不思議な少年」と合わせて、全巻がいつまでも読んでいたい作品ばかり。ここまで駄作なしとは恐れ入ります。。。