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合衆国崩壊〈4〉 (新潮文庫)

価格: ¥860
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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4巻と大部だが、一気に読み切る魅力あり ★★★★★
 ここ1年ぐらいかけて、ジャック・ライアン・シリーズを読み返しているが、ストーリーの壮大さ、ディテールの細かさに改めて驚嘆している。
 これを伝えたくて、苦労してレビューを起こしているが、悲しいかな全く反応がないのを見ると、トム・クランシー自体がすっかり過去の人になっていることを気づかされる。
 悲しいが、これが現実というものであろう。

 本作は、「日米開戦」の直後から始まる。
 日航機の議事堂への突入は、単なる序章であって、次から次にアメリカ、あるいはジャック・ライアン大統領に災厄が襲いかかるが、これを一つ一つはね除けていくという話である。

 降りかかった災厄を数えてみると、1)大統領の正当性へのチャレンジ(副大統領の辞表は出されていたのか?)、2)ジャックの娘への襲撃、3)エボラ・ウィルスを使ったバイオテロ、4)マスコミの攻撃(大統領は人殺しなのか?)、5)ジャック・ライアンの暗殺未遂(「愛国者のゲーム」とちょっと似ている印象を持った)、等々である。

 また、イランの宗教指導者ダリアイはイラク大統領暗殺により、イラクを併合しイスラム連合共和国を樹立(狙いはイスラム社会の統一)し、勢いを駆ってサウジアラビアに侵攻する。
 中国は中華航空の撃墜を通じて台湾との緊張の増大、インドはディエゴ・ガルシア島からのアメリカ輸送船を牽制することで側面支援する。

 サウジアラビアで、イスラム共和国軍は米軍とリヤド攻防で雌雄を決することになるが、米国から送り込まれたのは、エボラに汚染されていない陸軍の訓練センター(フォート・アーウィン)の常駐部隊とそこに訓練に来ていたノースカロライナの州兵だけであった。

 なお、第4巻に出てくる、エドガー・アラン・ポーの「赤死病の仮面」という作品が気になった。
魅力が分ったような気がしました ★★★★☆
以前に読んだ“The Hunt for Red October”に何だか馴染めずそれっきりでしたが、偶然手にしました。

今回も、文章のクセ〜良く言えばハードボイルド、悪く言えば不親切で独りよがり〜が気になりましたが、それに慣れると軍事は勿論情報活動(インテリジェンス)、外交、政治の内情に関してもよくもまぁ色々と調べたものだと感心させられました。

やたらと早い場面の切り替えにも最初は苦労しましたが、多くの登場人物が一通り頭に入ると世界中で同時進行する様に魅せられました。やり過ぎという感じもしないではありませんが、これも彼のスタイルでありだからこそこれほど長く続くだけのファンを獲得しているのでしょうか。もう一冊読んで、その辺を確かめたくなる一作でした。
軍事、テロの物語風テキストとして使えばいいでしょうか ★★★☆☆
 クランシーの初期の作品と後期の作品を比較されているレビューアはたくさんいらっしゃるでしょう。初期のファンには本作品も厳しい評価の対象になってしまうでしょう。軍事、テロなどの技術的詳細はともかく、ストーリーの荒さ、作者の政治的信念の主張に辟易してしまうかもしれません。
 そこで私は、最近の作品は別のものと考えて役立てることにしました。今までに、潜水艦や原子爆弾についての知識を得たように、本書では細菌兵器や最新の戦車の知識を得ることに徹するのもひとつの読み方でしょう。おなじみの配役はキャラクターとして舞台回しをしてくれているという見方です。また、一部の米国人のもつ世界観を知ることも価値があるかもしれません。
 こうやって、成功した魅力的なキャラクターが何倍にも薄められて獲得キャッシュを最大化するのがいかにも米国的エンターテイメントビジネスという気がします。それが気にいらない読者には、初期の作品で読むのを止める選択肢もあります。私はまだつきあうつもりでいます。
軍事シミュレーション小説の最終巻 ★★★★☆
 9.11のジャンボ機自爆テロとその後の細菌汚染を予告したトムクランシーの軍事シミュレーション小説(文庫本で全4冊)の最終巻。小説では炭素菌でなくエボラ出血熱が全米各地で発生、ジャック・ライアン大統領は州間の移動を禁止する。CIA、FBIの必死の捜査により、このエボラ出血熱はイラン(イラクを併合してイスラム連合共和国と称する)の生物兵器によるものと判明する。大統領の末娘を襲撃させたのも、イランの独裁者ダリアイの仕業だった。大統領警護官ラマンもダリアイの放った暗殺者であり逮捕される。米国の軍隊がエボラ熱で海外に大量に展開できないこと、ライアン大統領を見くびったインドの海軍が米国の展開を邪魔すること、中国の台湾との衝突で米国艦隊が台湾海峡に向かっていることをチャンスとして、イスラム連合共和国軍はサウジアラビアのリヤドをめざす。米国および自分の家族への明らかな攻撃に怒れるライアン大統領は、イスラム連合共和国に宣戦布告する。米国内の政敵キールティは州間移動禁止を憲法違反として告訴するが、自滅する。エボラに感染していないことが明らかな米国の少数の軍隊・州兵は近代装備を駆使してイスラム連合共和国軍を殲滅する。さらにCIAはソ連の協力を得てダリアイに鉄槌を下す。 
 米国民に感情移入すれば、果断なライアン大統領の決断と戦果に読者は間違いなく溜飲を下げるだろう。ジャック・ライアンこそトムクランシーが理想とする大統領であろう。国民の平和な生活を守るために軍隊・CIA・FBIが不可欠であるとのメッセージもうかがえる。

 起こるべき事態を精緻にシミュレーションしており、機械の故障も織り込み、航空機・兵器の記述も詳細を極め読み進むのに時として忍耐を要するが、全体としては凝りに凝ったエンターテインメントになっている。

ライアンは大統領になってもライアンです ★★★★☆
クランシー作品の特徴に,「色々な場所で様々なイベントが起こり,それぞれの場所で色々な人が活躍して,最終的に一つのまとまった解決へと,ものの見事に導かれる」というのがあると思います。この作品でもそのスタイルは貫かれていますが,前作までに比べるといささか間延びして,まとめ切れていない部分があったかなあと言う気もします(余計なイベントをカットして2~3巻でまとめれば良かったんでしょうけど)。各イベントを小分けに書くのが持ち味なのに,終盤はほとんど軍事作戦の描写に終始してるし・・・それでもかなり面白いことにはかわりなく,自信を持ってオススメできます。

本質的には控えめな性格だけど,ここぞというときにはやるべきことをやらずにはいられない,そんなライアン像は大統領になっても健在です。やむを得ないとは言え大統領になってしまい,その仕事の重さに苦悩しながらも母国の危機を救うために奮闘する,良きアメリカ人の見本のような人間像がそこにあります。

ただ,新潮文庫になってから,訳が雑になったような気がする・・・それに「合衆国崩壊」ってタイトルはナシだろう?(原題は「Executive Order=大統領命令」です)表紙のイラストも変だし・・・新潮さん,がんばってよ。