ニートというよりニート的気質を持つ人向け
★★★★★
高校生くらいの年齢の人を対象にするという意図があるらしく、かなり軽めの文体にはなっているし、随所に卑近な、たとえば芸能人の話題なども差し挟んでいて、あまり忍耐を強いないようにしようという努力の跡がみられるのだが、内容が内容なので、雑誌やマンガを読むようには読めないだろう。
しかし、少し我慢をして最後まで読み通せば、この書物が全体を通して一体何を言いたかったのかということがわかるだろう。この世の中から「余計者」として締め出された人間にしか見えない相が、世界には確かにある。文字通り世界観を刷新するような体験もそこにはあるだろうが、だがそのためだけに「余計者」つまりニートに身を窶すということは、簡単にできることではない。だからこそ冒険だと言えるのかも知れない。そして、ニートになるということは、ニートにならざるを得ないということとほぼ同じであろう。
テキストは、『嘔吐』全文が載っているわけではなく、はじめは読み飛ばしてもかまわないと思う。どこかで実際の合田氏の授業を受けたことのある人には、この本が生の授業と同じ構成をとっていて、本当に本の中で理想の教室を作ろうとしたのだという誠実さを感じることができるかもしれない。