ソロ・アーティスト＝平沢進の作品は、P-MODELに比べ、より身軽で柔軟な印象を受ける。「過去と未来が現在に出会ったような音楽」という形容はまさに言い得て妙で、日本古来の伝統的な要素と、近未来を感じさせるエレクトロニックな質感とが絶妙に混ざり合いながらも、ちゃんと“今”を感じさせるのが、平沢進の音楽だ。本作はアニメのサウンドトラック盤だが、ソロ・アルバム『賢者のプロペラ』にも通じる「平沢流デジタル錬金術」ともいうべき世界が堪能できる秀作。エンディング・テーマである「ロタティオン（LOTUS-2）」を軸に展開する、時空を超えた壮大な作品の数々は聴きごたえ十分で、平沢の別ユニット、旬からの作品も重要な位置を占めている。（木村ユタカ）