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評決のとき〈上〉 (新潮文庫)

価格: ¥780
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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映画で見たよという人も改めてどうぞ ★★★★★
グリシャムの作品は数多く映画化されていますが、この小説もその内のひとつ。
しかし、映画は残念ながらつまらないです。星1.5ぐらい。
なぜ原作と差を付けるかというと、実はクライマックスのシーンが原作と映画とで違うんですね。
本作は扱いの難しい動機による殺人事件の審理の過程を描いているわけですが、
そこで現れる「アメリカにおける」正義とは何かという問いが、
この小説なら日本人である私にも受け取れますが映画だと「はぁ?」という感じ。
(肝心のシーンなので何故かはこれ以上詳しく書かないですが)
最後の評決はほとんどの日本人には馴染まない(アメリカ人にも難しいであろう)ものですが、
その馴染み難い評決を作中の人物たちは如何ともしがたい切実さをもって提示してきます。
そこがこの作品のすごいところではないでしょうか。
「映画は見たよ」という方もぜひこちらを読まれることをお勧めします。

(以下余談)それにしても著者は冒頭の覚書の締めくくりで
「この小説は真情を吐露したものだ。(中略)
たとえチャンスをあたえられても、私は一語たりとも手を入れるつもりはない」
と書いておきながら、何であの脚本にはOKを出したものか・・・絶対原作のほうがいいと思うのですが。
最後まで引き付けます ★★★★☆
弁護士のJakeが 依頼人の貧乏な黒人に 「金払え。 なければ 家を何とかしろ。 親戚から金借りろ」と迫るところは なかなかリアル。主人公のJakeは けっして人情味ある弁護士ではない。いうなればビジネスライク。あるいは ドライ。仕事人と言ってもいいかもしれない。そういうJakeが 法廷技術を駆使して 依頼人をどう救うか。内容は、米国の裁判制度が細かく書かれていて、その面でも いろいろと ためになるかも。
impressive reality ★★★★☆
主人公である弁護士が依頼人に 「金払え」と迫るところが なかなかリアルですね。金がないのなら、家があるだろ、 あるいは 親戚から金借りろ。まあ、深刻な場面のはずですが、その金を工面する機会が後に出てきますけど、 けっこう 笑えてしまう。リアルさとユーモアがありますね。 それと、 アメリカの裁判制度を詳細に描写しているので、その面でも勉強になります。 
目には目を ★★★★☆
娘を強姦された父親が犯人を射殺します
主人公は弁護を引き受けますが・・・
黒人差別が残る南部の物語です
心情的には父親を応援したいのですが
復讐を認めてしまうと法治国家ではなくなってしまいます
グリシャムの出世作となりました
公平とは?多くのヒントが詰まってる ★★★★☆
差別とか正義とか良くわかんないんだけどさ。これだけは明言できる。

「人間が運用する限り、完全な法律は存在しない」

つまり現実の法律を運用するのは、正義の味方だけじゃない。脅迫だったり
裏金や出世欲だったり、そういう汚い部分もこの作品は、しっかり描いてる。
さすが現役弁護士時代のデビュー作だ、リアルだな。法律は万能じゃないし。
法律には利害調整的なところもあると、この作品は気づかせてくれた。

結局、一つの正論の裏には、多くの例外やスキマがある。だから弁護士は
膨大な判例資料を必要とする。だって人間の行動は、ロボットみたいに
パターン化できないでしょ。正論を高い所から一方的に、弱者に押付けて
いいのか?それだけで、テロや矛盾は収まるだろうか?公平とは?考える上で
多くのヒントがこの作品に詰まってる。

僕は、例外を排除した理想社会なんて、息苦しいだろうなと想う。例外は、
事故も生むが、そこから新発見もありうる。それで良いじゃん。例外がある、
だから面白い!だからファンタジスタ!!弱者にスキマや例外というチャンス
くらい、あっても良いんじゃない?
PS●男の使命か妻の安心か、里見の葛藤→『白い巨塔』
●レイスキラーとサミュエル刑事→『シャフト』タイディマン
●保釈金融屋と密売人サミュエル→『ジャッキーブラウン』(ラムパンチ角川