お手軽な改変
★★★☆☆
英国Canongate社主催、角川書店提携「世界の神話」シリーズの一冊。
『侍女の物語』のマーガレット・アトウッドが女性(妻)の側から見たオデュッセイアを書いたということで、なんとなく予想はつきながらも期待していたのですが。
なんというか、お昼のワイドショーでやっている主婦の悩み相談を読まされたという気分。そういう意味では面白く読めるのですが、それだけ。
帰還したオデュッセウスに処刑された12人の侍女のコーラスや裁判仕立ての劇中劇を挟むなど、ストーリーテリングの工夫はこらされていますが、基本になる「真相」が良くも悪くもこちらの予想を裏切るものではないので、逆に上滑りな印象を受けました。
いかにも大急ぎの翻訳(人名の出典の不統一、一見意味不明な安易な邦題)ともども、良い材料が適当に料理されてしまったことが残念です。