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アレルギーはなぜ起こるか―ヒトを傷つける過剰な免疫反応のしくみ (ブルーバックス)

価格: ¥903
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
Amazon.co.jpで確認
単純化思考への警告 ★★★★☆
 アレルギーや免疫に関しては(も)、
「○○に対しては■■が有効」などというような
単純な図式があてはまるわけではないことを改めて
痛感させてくれる良書です。

 食物アレルギー、子どものアレルギー、喘息、
アトピ―性皮膚炎などに関して免疫と言う視点から
研究成果を丁寧に考慮した解説がなされています。
しかし、それでも免疫の全体像と細部のバランスは
難しいものがあり、免疫に関する基礎知識が十分
しっかりしていないと、読み進めるのが苦痛になる
かもしれないのでくれぐれも注意が必要。ただし、
丁寧に読み直すと、理解が深まるはずです。

 ステロイド剤や薬の使用に関しても、副作用を
誤解したり効用を理解しないまま「自然が良い」
という理由から拒否する姿勢に注意を促します。
(私たちの文明社会が既に自然から大きくかけ離れ
ていることを理解していないと。またその状態で
自然=最高かつ最適とするのは滑稽であると。)

 分かっていないこともまだまだ多く、不確実な
情報に振り回されず、極端なことをしないのが
良いという著者のスタンスにも好感が持てます。

 繰り返しになりますが、免疫の基本を理解して
いる人が理解を深めるのに役立ちます。
難しいが登場する細胞のキャラを把握すれば理解できる ★★★★★
 息子のアレルギー体質を理解できればと読んでみました。

 1960年代以降先進国で衛生環境が劇的に進んだことがアレルギー体質増加の原因ということに驚きました。

 現在は乳幼児期に最近やウイルスにさらされることがなくなったために、これらを防ぐための免疫システムができにくい。このことが、逆にアレルゲンへの過剰反応システムをつくりやすくしてしまっているのだそうです。

 どういうことかというと、本来、細菌・ウイルス撃退システムとアレルゲン撃退システムは相性が悪いために、お互いの足を引っ張り合うことで逆にバランスを保っています。

 ところが、衛生環境の改善で、アレルゲン反応システムが幅を利かせてしまっているのがアレルギー体質。

 かといって、アレルギー体質になってしまうかどうかは、はっきりした原因が解明できていない部分も多く、予防方法をとるといっても、確率論的な話でしかないところに、難しさがあるのだと感じました。
幼児期の環境が大切 ★★★★★
免疫の獲得段階での、環境によって
アレルギーになりやすくなるかどうかが
分かれるそうです。

細菌防御のために高度に発達した免疫が、
清潔な現代において目標を失い、
自己を攻撃しているのですね。

専門用語が多いですが、
それだけに読後に充実感があります。
わかりやすいとは言い難い ★★★☆☆
いきなり「アレルゲン特異的IgE抗体」とか「2型ヘルパーT細胞」とかいう
専門用語がどかどか出てきます。もちろんどこかで説明はされていますが
免疫学になじみのない素人には途中で投げ出す人が多いと思います。
免疫の仕組みは複雑なのでそれをわかりやすく説明するには相当の技量が必要です。
とてもじゃないが分かりやすい本とは言い難いと思います。
アレルギー・免疫について最初に読む本としては同じブルーバックスの
「現代免疫物語」をおすすめします。
書としての完成度は高いが、免疫学は複雑であり、全くの初心者には厳しいかも ★★★★★
国立成育医療センター研究所研究部長による書。アトピー性皮膚炎や喘息などアレルギー性疾患がどのようなメカニズムで発症するかを、様々な免疫細胞や抗原、抗体の相互関係をもちいて解説している。9章で構成され、増加要因、メカニズム、治療について幅広く紹介している。200ページ程度の分量ではあるが、登場する細胞などが多岐におよび、高校生以上が何度も読み返しながら数日以上はかけてゆっくり読むべき内容。これから免疫を学ぶ者や、生物学を学んだ者にとってはきわめて有用な書であるが、免疫について全く知識がない者が軽い医学書と思って読み始めると苦労する可能性大。

アレルギーを知るには通常の免疫反応についての知識が必須であり、結果的に免疫学を網羅的、体系的に理解する必要がある。免疫学のキャストは非常に多く、きわめて複雑な系を構成しているので、お手軽な医学書程度の知識では正しく理解することは不可能であることを認識すべきである。本書は最初の登場人物(細胞の種類)を覚えろという作戦で、免疫学の総論的なことをあえて省略している(『24人のビリーミリガン』を思い出させる構成である)。この登場人物さえ頑張って理解してしまえば、あとの複雑な内容が非常にわかりやすくなる仕組みだ。また、図についても本文の説明だけでなく個別に詳細な解説が加えられており、非常にわかりやすい。引用文献も巻末に提示されている。内容では、昔はほとんどいなかったアレルギー体質がなぜ激増したかが科学的に述べられていると同時に各種免疫のバランスが重要であることが示されていて面白い。

重複するが、免疫学はきわめて複雑な系である。それを考慮すると、本書の完成度はきわめて高く、著者の理念や能力は相当に高い。アレルギー以外の免疫知識についても自然と身に付くことは疑いなく、免疫学を学ぶ者にとっては、入門書や免疫学バイブルとして無条件に購入することを勧められる最高傑作だ。星5つの評価も、読者はある程度限定されると思う。