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富の未来 上巻

価格: ¥1,995
カテゴリ: 単行本
ブランド: 講談社
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本のフレーズで自身の思考をめぐらすことができる幸せ ★★★☆☆
 著者は、「第三の波」で世界的ベストセラーとなった米国国防大学の教授である。工業社会から知識社会へ移行する中で、「富(Wealth)の体制」が今後どのように革命的に変わっていくのかを論述したものである。ここでいう富とは、金と同一ではない。むしろ金で買えないものも含めた経済学でいう「効用」である。つまり、なんらかの形の満足を与えるものすべてを示している。

 米国の金融資本主義に対する感情的批判や、地球温暖化対策を標榜する環境原理主義が根強く社会に存在する現代において、富は悪評を受け続けている。まるで、富の獲得や富の源泉である欲求としての生活の質の向上が、無条件に悪といった世の中の風潮は、個人的には大嫌いである。こうした点で、本書の非常に奥が深い論述が個人的にフィットした。

「その昔、老人が尊敬されていたのは、過去を知っていたからではない。社会がそれほど変化しなかったため、過去とほとんど変わらない未来を知っていたからだ」は、素敵なフレーズだ。過去の知識や経験は、既に現在にあまり役の立たない「死知識」であり、その歴史は重要であるとしても、過去の経験そのものは未来に対し尊敬に値しないからである。

 ただ、この書物も前半2/3程度までは、結構退屈な文章である。本書の本当の価値は、後半1/3からの記述である。家事や趣味の活動、健康増進や自宅介護医療、ボランティア、あるいは街中でのサービス企業に代って消費者がセルフで行っている行動(セルフ給油、銀行ATM、レストランのセルフサービス)等の経済規模は、金銭換算すると既に金銭が動いたときに生み出される経済活動に匹敵する規模であるらしい。すなわち、革命的富は、金銭だけではないということも意味している。

 そしてこの、専門家や企業に任せない素人が自ら行う生産消費活動は、今後も知識社会の中で拡大し、特にハイテク型生産消費は急拡大していくはすだ、それが富の未来であるとしている。この論点は、すごく考えさせられる。こういった、読書の最中にちょっとの間、静かに本を閉じ、本から刺激を受けたフレーズで自身の思考をめぐらすことができることは本当に幸せだと思う。
社会という生態系 ★★★★☆
歴史学は過去の出来事を何らかの必然性や因果関係の文脈にまとめ上げる作業というが、著者はこの作業を、現代世界の人間の様々な営為を素材として試みている。そこで描き出されるものは、人間の知識や技能や活動、さらにそれを支える社会体制のありようの来し方を概観しつつ、そこから連なっていくものとしての未来を予測しうるという点で単なる歴史学を超えているし、金銭価格に換算できない価値を扱えるという点で従来の経済学を超えている。言うなれば、人間社会の生態学であり進化論なのだ。もちろんそれは陳腐な進歩史観という意味では決してなく、価値とは中立的に社会変化の様態を示している。

とりわけ新鮮だったのは、生産消費(prosumption)に関する考察だ。それが社会の中でどのように営まれ、金銭経済とどのように連動しているのか。そのありようは歴史的にどう変遷してきて、これからはどう変わりうるのか。そのダイナミックな筋書きに胸が躍る思いがした。この他にも、工業社会と知識社会の違い、時間の「非同時化効果」、グローバル化の二つの逆の動き、知識の無形的性質など、自分自身の生活も含めて世界でいま起こっていることや起こりつつあることを互いに関係付けていくのに、有益な視座と切り口を示してくれている。
富の未来 上・下巻の感想です。 ★★★★★
アルビン・トフラーは人類の歴史を
過去500年までさかのぼり考えていることが新鮮でした。
職と賃金労働がたかだか過去3世紀のことです。

社会の速度の視点は面白いです。
企業の速度を100とすると
家族は60、労働組合は30、官僚機構は25、
教育は10、国際機関は5、議会は3、法律は1だそうです。

経済が目覚ましく進展する中
政治の変化があまりにも遅いことがよく分かります。

ソニーの創業者である盛田昭夫さんはかつてこう言っていました。
工場労働者なら朝7時に出勤して
生産的な仕事をしてくれといえる。
技術者や研究者に朝7時に
素晴らしいアイデアをだしてくれと言えるだろうか。
私に勇気を与える一言です。

真実かどうかを判断する基準のうち
自然科学への低下させる動きがある?
遺伝子工学を目指す優秀な若者の減少を懸念している?
これに対しては甚だ疑問です。

通貨であるユーロやドルよりも
マイクロソフトのゲイツやソニーの盛田などの電子マネーを
持っている方がいいという時代が来る?

マイクロソフトやソニーのような斜陽産業と思われる企業を
たとえに用いている点がセンスがない気がしました。
現在ならばグーグルだと思います。

貧富の格差の問題に対する第一の目標は
生活水準を引き上げて絶対的な貧困から抜け出せるようにおくべきで
その際に貧富の格差が拡大するかどうかは無視するべきである。

現在、格差社会がマスコミで大きく騒がれるようになってきましたが
この一言でおしまいです。
500年前からつい最近に至るまで絶対的な
貧困の時代が続いてきたという事実をマスコミは理解していません。

日本のサービス業が遅れている?
日本の終身雇用制度が解体されている?
日本の集団決定方式は今度衰えていく?
日本を豊かにするために移民を受け入れるべきだ?

日本は治安維持のため移民を受け入れるべきではないと思います。
サービス業は遅れていますが、巻き返しはまだまだ可能です。
日本を過小評価している印象を持ちました。

本書は過去500年から現在までの歴史を精査し
未来を予想しています。参考になる点は多いです。
首をかしげてしまう点もありますが
それは個人個人が考えていけばいいと思います。
著者の知識量とネットワークに脱帽 ★★★★☆
著者の知識量と情報を取得するためのネットワークに脱帽した。
ここまで広い見聞で世の中を見ている人は、少ないのではないだろうか。

著者の頭脳の片鱗(・・・と言っても、才能ではなく、努力の賜物であると思うが)
に触れるだけでも、自分の頭脳に衝撃を受けさせてくれる作品である。

ただ、ひとつ言いたいことは、
もしかしたら、著者の知識量はただの知識であって、
知恵に昇華されていないのかも知れない。

現在、インターネットで欲しい情報は簡単に手に入る。
それは知識になる。知識というものは経験を伴って始めて知恵になりうる。

本書のいたるところに出てくる、「5年間工場かどっかで働いた経験から・・・」
というのはあまり説得力がない。
よって☆4つ。
価値が激動する時代 ★★★★☆
富(Wealth)のこれまでの変遷を通して将来を考えさせる本

上巻のメインは「生産消費者」という概念で色々な現象を
説明してゆく点が私には心に残った.
上巻だけでも400ページ近い書物だが,色々な現象を元に
わかりやすく構成されているので,わかりやすく納得感がある.
また,上巻だけでも30章!もあるので散漫な内容かと思って
いましたが,時間(第3部),空間(第4部),知識(第5部)と
主な富の要素を分析しながら,上巻のメインの生産消費者(第6部)
と大きな流れになっており,ほんとうにすばらしい内容と
思っている.

 その大きな流れの中で
「革命的な富は金銭だけではないのだ」という
上巻の一番最後の1文がこの本の特徴を強く感じました.