ポスターという広告媒体による、こづかい倍増の効果
★★★★☆
たくさんのふしぎ181号のハードカバー化で、おまけのポスターもついていました。
当時の折り込み付録’ふしぎ新聞’によると、この本を作るのに「広告批評」1989年3月号にのった
藤沢市滝の沢小学校6年6組のみなさんの作品と、根本久子さんが集めた資料を参考にしたと
あります。
大槻さん作品は「けいとだま」こどものとも年少版322号と、「あ」こどものとも年中向き226号が、
家にとっては先でした。小さな線のニンゲンは、すでにこの本から活躍していたのですね。
ちなみに、我が家のおこづかいは1,000円以下ですか、ポスターは台所の壁にまだ張り出されません。
(よっぽどケチだと思われているのでしょうか?)
主役は次々に生まれるポスター
★★★★★
おこづかいを500円から1000円にアップしてもらうために、
小学4年生の男の子がポスターをつくって、ママにアピールしようとする話し。
ただし、普通の絵本でないのは、作り手が広告のプロ:天野祐吉さんという点。
男の子が悩む様子を、視覚表現を担当する「絵くん」と文字の表現を担当する
「ことばくん」に分けて、議論を進める形で見せるあたりはサスガである。
絵とくればイラストレーター的視点、言葉とくればコピーライター的視点と
なりますがそれだけではない。ときにはアートディレクターであったり、
クライアントの立場になったりマーケッターとして分析したりもする。
まさに一人ブレーンストーミング状態とでもいいましょうか。
これがけっこう白熱しておもしろい。
最初は稚拙な表現だったものが、次第に深みを増していくあたりは見応え充分。
ロジカルに攻めたり、ウケを狙ったり、情に訴えたりと様々な切り口で、
自分の想いを伝えようとします。おこづかいアップによるママへのメリットまで
考慮するところまでいくと戦略も極まれりといった感じです。
さすがは、広告のプロ! 出るも出たり16もの案が登場。
子どもたちにとっては、広告表現の技を身近な問題と結びつけてとらえる
いいきっかけになる作品ですね。
伝えたい気持ち
★★★★☆
「目は口ほどにモノを言う」と目を心の窓として目で理解できることもあるけれど、大体は目だけでは人の気持ちなんてさっぱり解らないのである。
自分の気持ちや思いを伝える為に一体どうしたらよいかと悩みながら人との関りを学んでいくのだ。幾つになっても意思疎通が上手くいかないと感じるときもある。自分の思い通りになる事を願って、あの手この手の言い方を考え、そして泣きをいれたり同情を得たりと実に必死で実力交渉をしていく。おぉこれはまるで恋のプロセスにも似たり、かも。
ポスターでお母さんを納得させるには、どうやったら効果があるのかと試行錯誤してたくさんのポスターを考える。このポスターが素晴らしいのだ。広告評論家『天野祐吉氏』の作品としてみても、さすがと思う。この絵本はポスターの書き方として美術書に分類に配してもいいかなと絵本評論家として思うわけで…。
お母さんが要求に応えたかどうかの結末はない。世の母親はその努力に敬服して、この過程は報われるべきだとすんなりと要求をのんであげるだろうな。おっとこれを読んだお父さん…。この作戦はいだだきとお思いかな。お小遣いアップ作戦に参考になればいいのだけどね。しかし、殿方の小遣いをアップで奥方の納得いくような「得する事」を打ち出せるかどうか。検討を祈る…。
子供のためのプレゼンテーション技術
★★★★★
人間は回りにいろいろなプレゼンテーションを続けていく存在です。そういったときに、周りを和ませながら自分の言いたい事を伝えるというのは大切な技術です。この本は、そういった事を子供たちに無理なく伝える素晴らしい本です。笑いを含ませたコミュニケーションを通し、自分の事を伝えるという、広告のプロならではのセンスが光る良書です。こういった本は今まで無かったでしょう。素晴らしいです。
親子でたのしめる絵本。
★★★★★
優太君のなかにいる「絵くん」と「ことばくん」が繰り広げる、優太君の
お小遣いアップ作戦のためのポスター作りです。見開きで進む次々と書き
あがる可愛らしいポスターは秀逸です。
優太君は天才では。。なんて思ってしまうくらいのできなのですが、更に
オチもきちんとついていてストーリーもばっちりです。
小学校1〜3年生程度のお子さんにオススメの本ではないでしょうか。
もちろん親としても楽しめると思います。