著者は東京大学理科I類に進学した後、自主退学。その後自ら学習塾を経営するも破綻。さらには処女作の版元がこの本を勝手に文庫化しようとし、それを差し止めようとしたところ、1億円の損害賠償を請求され…などの波乱万丈の人生を送ってきた人物である。
なかには、本書のテーマを「なんとくだらない発想か」と思う人もいるかもしれない。しかし、著者自身は真剣そのものである。たとえば、あの有名な『巨人の星』の大リーグボール養成ギプス。なんと著者はバネを購入し実験をしたというのだ。このような実験に基づく結論、また物理や数学の定義から導き出される結論、本書は決してふざけた内容ではなく、むしろ純粋な科学ゴコロを刺激する内容なのである。
最近は子どもの理系離れが進んでいるようである。しかし、子どもたちの興味のある漫画を用いてこのように楽しく科学を学ぶことができれば、決してつまらないものではなくなるはずだ。もちろん、自称「文系人間」という大人にもぜひおすすめしたい1冊である。(冴木なお)