王道少年漫画の高揚感
★★★★★
パニック旅客機ものという新しいジャンルを一人で切り開き続ける第3巻。
今回は2巻からの続きで、まるまる一冊「親愛なるカイビーガン」のエピソードです。
目次を見た時に「おいおい、まるまるこの話で引っ張るのかよ。長いんじゃないの?」と思ったんですが、
読み始めたら一切そんなことはありません。アクシデントに次ぐアクシデント、奮戦するクルー達。
不安入り乱れる上空1万2000フィートを舞台に、ダイナミックな展開が全く飽きさせません。
あっという間に最後まで読み終えてしまいました。
2巻は多少大人しいエピソードが挟まったので箸休めに似た印象だったのですが、
この3巻は極上の少年漫画のような、手に汗握る展開が実に見事でした。衝撃の1巻の興奮をよりスケールアップさせた形です。
2巻ではいけ好かない印象だった円旗キャプテンの知的な描写に加え、
金蚤との対話、円旗との衝突を経て一回り大きくなる主人公アリスの成長も見どころ。
どのキャラクターも実に活き活きと自分の任務に全力を傾けています。
クライマックスで見せるアリスの「あの顔」の高揚感といったら!
理屈抜きで盛り上がれる、ドラマティックな一篇。是非ご堪能を。