角川の中国古典入門シリーズです。孔子の論語の解説本です。由来、歴史、背景が解説されています。また、原文、書き下し文、現代語訳がついていて、理解し易いようになっています。解説者が書いている通り、含蓄が深く、大人の世界の書物です。さすがに長年の歴史に耐えてきた本だと思います。論語の世界を楽しむ入口の本として良いのではないでしょうか。

「ビギナーズ・クラシックス」のシリーズが割と好きです。
書き手の個性が表れるので、どの本も似た書きっぷりというのではないですが、学校で軽く流しただけ
だった古典に、何十年も経てから再度さらに詳しく触れたいときなどに世話になっています。

先日ある文章を書いていて、これは「論語」に出てきていたのではないかと思う言葉を使うことがありました。
確かこういう意味で、確かこんなふうに書かれていて…とおぼろげな状態でした。
推測で語ってはいけませんものね。
そうだ、ビギナーズ・クラシックスにも「論語」があったはず、と思い、書店に行きました。
私が書こうとしていた事柄にうんと参考になる内容が書かれていましたし、学校で時間が割けなかった「そもそも、
論語って…」「孔子って…」というのも気になり、私なりに理解を深めることができました。
すっかりおばちゃん世代になりましたが、「学びて思い、思いて学ぶ」バランスを大切に自分を磨いていきたい
ですし、「中庸の徳為る」も、とてもすばらしいことだなとこの歳になって改めて思いました。

絶賛してるレビューばかりなのであえてネガティブな感想を書きます。
論語の要所を平易な現代語に抄訳したようなものを期待して買ったのですが、訳者の方の主張が入りすぎて少々鬱陶しいと感じました。
文章の比率で言うと、全体の半分ぐらいが本文＋訳＋訳注、残りが「訳者の考える論語の教訓と中学生に送るメッセージ」といった感じです。『今日ではすぐ書きとめるものですから、覚える力が弱く、また声に出すことも少ないものですから、人の前でしっかりと、はっきりと、声を出せない人が増えています。』といった余計な主張はいらないです（特に前半）。中学生向けとはいえもう少し淡々と訳と解説に徹したほうが素直に読めると思います。

論語というものが何なのか知らず、５０にもなってやっと興味を持ちました。もっと早く出会いたかったですね。それともやっと受け入れられるようになったということでしょうか。子供に何とか読ませて、意味もわからないうちにでも覚えさせようと「遺言と思って覚えて！」と小学六年の子に与えたらさすがにちょっと難しかったそうな。内容は孔子の人生と歴史の流れの中で論語が出てくるのでよみやすかったです。

孫に語りかけるように、論語を講ずる。そんな教養人である筆者が
実にうらやましくなる本だ。

私は、孫に何を伝える事ができるのだろうか。
論語でも読んで考えるとするか。この本はそんなときに最適である。

すばやい対応でした。