わかりやすい孫子
★★★★★
私は兵学者ではないし、漢文が読めるわけでも読めるようになりたいとも思わない。
自社の会社経営に孫子の兵法が役立てられないかと学びたいだけだ。
その点、本書は言葉も平易で、また情景描写なども簡潔で、とてもわかりやすい、馴染みやすい一冊。
より深く研究しようと思うと不充分なのかもしれないが、まずは孫子の全体像を理解する入門書としては良著であると思った。
スタンダートな孫子本
★★★★☆
数ある孫子本の中では一番スタンダードな本で分かりやすい。
孫子の兵法は、クラウゼヴィッツに並ぶ戦争哲学本であるが、クラウゼヴィッツが難解で体系的でないのに対し、孫子の場合は分かりやすさを重要視している。
学術本の為に、物足りなさは感じる。更に他のレビューの方が御指摘されているように、竹簡本である部分がどのあたりかという分かりにくさがある。
但し、解説については今までの専門的な概説書よりも読みやすく書かれている。自分のような初心者には親切な本とも言える。
文庫としてはこれが一番かも
★★★★☆
従来の宋時代のテキストより千年以上も古い前漢武帝時代の竹簡文をベースにした孫子本。ただし、
出土された竹簡文は完全な形では残っておらず、そこかしこに欠落があるので、従来の宋代よりつたわる
テキストで補完して作り上げた本。
竹簡と従来の版本との折衷版とも言うべきもので、過渡的、中途半端だとは訳者も認めているので、まぁ
しょうがないかと。ただ、時代を経ていくなかで、語句や文章が常識的な内容に書き換えられ、そしてもと
もとの文章が持っていた意味から乖離してしまったケースが多々あったことが十分に確認されたのはこの本
の成果だと思う。
内容を言うと、岩波文庫からでている孫子などと比べると、単なる字句解釈以上に踏み込んだ内容で、
意味や歴史背景にわたって解説しているところが特徴。訳者自身の考えがかなりはっきりと出ていし、従
来の読みとは違う解釈を随所に出してきている。
予備知識がない人にとっても比較的読みやすい本だと思う。
初めて孫子を読む方にお薦めです
★★★★★
孫子やそれを題材にした本はこれまで10冊近く読んだと思いますが、孫武の考えを理解するには最適な一冊だと思います。
孫子の現代語訳や書き下しを何の予備知識も無く読むと、不可解な箇所が多々あり、読む側もその下りから何かを得ようという意識が自然に薄れがちです。
しかし、この本は孫武が兵法を著した当時の中国の外交、戦略、戦術常識の解説を含め、孫武がなぜそのような結論を導き出しているのか非常に判りやすくまとめています。
はじめて孫子を読みたいと思った方は、兵法をモチーフにした出来の悪い実用書などに手を出さず、まずはこの本を先ずは読んでみて下さい。
それで、十分日常生活にも役立つ知識となるはずです。
読みやすい、持ち運びやすい、分かりやすい。
★★★★★
全体的な感想を述べると非常に読みやすかった。巻末の解説を除くと孫子の原文は260ページ。時間をかけずにすらすらと読めた感じが強い本である。漢語の各翻訳の種類を忘れたが、口語文、文語?、漢文、筆者解説の4つで孫子の各内容を読める内容になっている。私は、文語と漢文を飛ばして読んだ。理解する上で、不要と考えたからである。漢文などはまた機会があれば読んでみたいという気持ちはある。また、本書の孫子の原文は発掘された最古のものを使っている。その点で、後世の追加していない原文に近い孫子が楽しめると思う。
さて、本書。孫子を呼んで感じたのは、まったく持って正論であるということである。戦わずして兵を屈するや兵の形は水に象るを代表する孫子の言葉。理想論という反論もあるだろが、これを理想論と考え、本質を理解していないものは、戦争に敗北する。本書を読んでそれをひしひしと感じた。世界最古の軍事書物である孫子。その最古の兵学書の名前に恥じない内容であり、現在でも多くの場面でこの文献の内容は応用することが出来るはずである。