とても親切な論語
★★★★★
今までに読んだ論語の中では、これがもっとも良かったと思う。読みやすく親しみやすい訳だが、軽々しいという程ではない。原文、書き下し文もついているので、一冊でだいたいの場面で事足りる。訳が気取らず堅苦しさがないので、孔子と弟子たちの人間的な姿を感じ取りやすい。また、注としてくどくない程度に解説がついているのも読み手の理解を助ける。関連する項目を示す道標がついているのも親切。
加えて巻末には孔子略年表、人名索引、語句索引がついているので、後から気になった部分を辿る時にも便利だ。ことに登場人物が多いので、論語の初読時は誰が誰だかわからなくなってしまうこともあると思うが、そうした時にも人物索引が大いに役立つ。学習に用いたい人にも向いた一冊だろうと思う。同シリーズに「左伝」もあるので、合わせて読むとよけいに面白い。
意外
★★★★☆
論語ときちんと向き合ったことが正直なかったので
読んでみました。和訳はわかりやすい日本語で
素直に翻訳されていると思います。
論語は、人生の指南書というよりは、孔子に関わる
人間模様の報告書という視点で読まれるとよろしいかと
存じます。そういう視点で読むと意外性に気付くと思います。
やさしく読める
★★★★★
予算の都合で、安かった本書を買ったのですが、適当に買ったら大当たりでした。以前持っていた論語は、返り点付きの原文に、文語訳という、古い本だったので、私の中での論語といえば「書き下し文+文語訳」でした。本書が初めて読んだ口語訳だったのですが、非常に注意深く訳されていて、わかりやすく、かつ、論語が伝える本質的な意味というか意義がきちんと表現されていると思いました。
掲載されている書き下し文が、私が覚えているものと違うものがあったりもするし、口語訳も「あれ?こんな意味だったっけ?」と思うものがあったのですが、それは、諸説ある解釈の中から、編者が最も適当だと思うものが本書に掲載されているためのようです。
そもそも、論語の解釈に諸説あることすら知らなかったので、
勉強になりました。
翻訳がとても読みやすい!
★★★★★
門外漢が古典、しかも中国語の本を読む場合、とにもかくにも読みやすさが優先するんじゃないか。とりわけ論語のようにせいぜいが退屈だった高校の漢文の授業しか髣髴とさせないものなら、なおさら読みやすく、そこに何か新しさを伝えてくれる翻訳でないと、将来的にだれにも読まれなくなってしまうだろうということは火を見るよりも明らかだ。こういう点で本書はまず合格。論語の入門書としてはこの本をおいてほかにはないとさえ私には思える。